はじめに
前回の路上ライブ撮影では、単焦点レンズだけでは撮影位置によって画角を変えられず、「ライブ撮影にはズームレンズが必要なのではないか」と感じました。
ただ、この時点ではまだズームレンズを持っていません。
そこで今回は、手元にあるEF50mm F1.8 STM一本で、ライブハウスの撮影にどこまで対応できるのかを試すことにしました。
会場は下北沢MOSAiC。使用したカメラはEOS Kiss X7です。
APS-CのEOS Kiss X7で50mmを使うと、35mm判換算で約80mm相当の画角になります。
撮影会などでは「近すぎる」と感じることもあった焦点距離ですが、ステージとの距離があるライブ撮影なら、むしろちょうどよいのではないか。
実際に撮ってみると、前方ではかなり使いやすい一方、後方へ移動すると明確な限界があることが分かりました。
また、撮影途中でホワイトバランスを変更したことで、設定を直すことに気を取られて撮影へ集中できなくなる失敗も経験しました。
今回は、
- 前方2列目で50mmを使った感触
- ホワイトバランス変更で失敗した理由
- 後方では50mmが足りなかった理由
- この経験からズームレンズに求める条件
を振り返ります。
単焦点レンズだけで路上ライブを撮ったときに感じた課題はこちらで振り返っています。
→ 路上ライブ撮影で単焦点レンズの限界を感じた記事
1. 前方2列目では50mmがかなり使いやすかった
この日は前方2列目から撮影することができました。
この距離で50mmを使って最初に感じたのは、以前「近すぎる」と思っていた焦点距離が、ライブ撮影ではむしろ使いやすいということでした。
EOS Kiss X7では約80mm相当の画角になるため、ステージ上の人物をある程度大きく写せます。
全身を常に画面内へ収めるには少し狭いと感じる場面もありましたが、
- バストアップ
- 腰上
- 表情を中心にした構図
では、前方からかなり使いやすい画角でした。
また、EF50mm F1.8 STMはF1.8まで開けられます。
暗いライブハウスでは、絞りを開けてシャッタースピードやISO感度とのバランスを取りやすいこともメリットでした。
この時点では、
「ライブハウスの前方なら50mm一本でもかなり撮れる」
という手応えがありました。
ただし、これはあくまでステージに近い位置から撮れたからこその結果でした。
この日に50mmで撮影した実際のライブ写真はInstagramにまとめています。
→ Instagramでこの日のライブ写真を見る
2. ホワイトバランスを途中で変えて撮影へ集中できなくなった
前半はホワイトバランスをオートにして撮影しており、大きく気になる色の崩れはありませんでした。
ところが後半、
「自分でホワイトバランスを設定すれば、もっと狙った色にできるのではないか」
と考え、撮影途中で設定を変更しました。
結果として、ここで失敗します。
自分で設定したホワイトバランスが会場の照明に合っておらず、撮影した写真が黄色や緑に大きく寄ってしまいました。
さらに問題だったのは、設定が崩れたことに気づいてからです。
ライブは止まりません。
ホワイトバランスを直そうとカメラの設定を触っている間にも、ステージ上では次々に撮りたい瞬間が過ぎていきました。
今振り返ると、今回の失敗は**「マニュアルホワイトバランスを使ったこと」そのものではありません。**
問題だったのは、
- ライブ中に十分な確認をせず設定を変更した
- 結果がおかしくなってから、その場で修正することに時間を使った
- 撮影より設定操作へ意識が向いてしまった
ことでした。
色を追い込みたいのであれば、事前にテストできる状況で設定するか、RAWで撮影していることを活かして現像時に調整する方法もあります。
特にライブのように撮り直せない場面では、設定を細かく変更することより、まず撮影を続けられる状態を維持することも重要だと感じました。
今回の撮影設定
| 項目 | 設定 | 今回の振り返り |
|---|---|---|
| シャッタースピード | 1/250〜1/800秒 | 被写体の動きや明るさに合わせて変化 |
| F値 | F1.8〜F5.6 | 会場の明るさに応じて調整 |
| ISO感度 | AUTO | 多くの場面で上限ISO6400 |
| ホワイトバランス | 前半AUTO/後半マニュアル | 後半の設定変更で色が大きく崩れた |
この時点ではライブ撮影の設定自体もまだ試行錯誤の途中でした。後の記事では、ISO・F値・シャッタースピードについても失敗しながら考え直しています。
3. 後方へ移動すると50mmでは焦点距離が足りなかった
前方での撮影を終えたあと、フロア後方へ移動しました。
そこで、
「同じ50mmを後方から使ったら、どれくらい写るのか」
を試してみました。
結果は、前方とはまったく違いました。
一番大きな問題は、50mmではステージ上の人物を十分な大きさで写せなかったことです。
前方2列目では約80mm相当の画角がちょうどよく感じられましたが、後方まで距離が離れると、同じ50mmでは被写体が画面内で小さくなります。
つまり、
50mmがライブ撮影に向いている/向いていない
と単純に分けられるわけではありません。
同じレンズでも、ステージまでの距離によって使いやすさが大きく変わることを実感しました。
AFについて
後方では、ピント合わせにも苦戦しました。
当時は「暗所で50mmを使ったからAFが迷った」と考えていましたが、今振り返ると原因を一つに決めることはできません。
後方から撮影すると人物が画面内で小さくなり、ステージ照明も刻々と変化します。
そこにEOS Kiss X7のAF性能、自分のフォーカスポイントの選び方、被写体の動きなど、複数の条件が重なっていたと考える方が自然です。
そのため、
「50mmだからAFが合わなかった」
というより、
「後方という条件では、画角もAFも自分の機材・技術では対応しづらかった」
と整理しています。
4. 前方と後方で50mmの評価が逆転した
今回の結果を整理すると、50mmに対する印象は撮影位置によって大きく変わりました。
| 撮影位置 | 50mmを使った感触 | 理由 |
|---|---|---|
| 前方2列目 | 使いやすい | 腰上・バストアップで人物を大きく写しやすい |
| フロア後方 | 焦点距離が足りない | 人物が画面内で小さくなり、もっと望遠側が欲しくなった |
以前の撮影会では50mmを「近すぎる」と感じていました。
今回は前方から使って「ちょうどいい」と感じ、その後に後方へ移動すると今度は「もっと長い焦点距離が欲しい」と感じています。
同じ50mmでも評価がここまで変わったことで、焦点距離はレンズ単体で考えるのではなく、
被写体との距離
× 撮影できる位置
× 欲しい構図
で考える必要があると分かりました。
そして、ライブでは自分が常に理想の撮影位置を選べるとは限りません。
そこで初めて、撮影位置が変わってもある程度対応できるズームレンズが欲しいという考えが具体的になりました。
5. この撮影からズームレンズに求める条件が見えた
この撮影を終えて、次に欲しいレンズの条件がかなり具体的になりました。
必要だと感じたのは、
- 前方だけでなく後方からも人物を大きく写せること
- 撮影位置が変わっても焦点距離を調整できること
- EOS Kiss X7で使えること
- 今の予算内で購入できること
です。
単に「ズームレンズが欲しい」のではなく、
ライブ会場で自分の位置が変わったときに、構図を調整できるレンズが必要
という目的がはっきりしました。
この条件をもとに、次の記事で実際にズームレンズ候補を比較しています。
さらに、実際に購入後ホールで使った記事も入れておくと現在のブログでは有効です。
その後、選んだズームレンズを実際のホール会場へ持ち込んだ結果はこちらです。
→ 望遠ズームをホール会場で初めて使った撮影記
6. まとめ:50mmの限界ではなく「撮影位置による限界」だった
今回、EF50mm F1.8 STM一本でライブハウスを撮影したことで、50mmという焦点距離の得意な場面と苦手な場面がかなり見えてきました。
前方2列目では、バストアップや腰上を撮るには使いやすく、F1.8という明るさもライブハウスでは大きなメリットでした。
一方、後方へ移動すると、今度は焦点距離が足りません。
今回の一番大きな学びは、
「50mmだから使える/使えない」ではなく、撮影位置によって必要な焦点距離が変わる
ということでした。
また、ホワイトバランスをライブ中に変更して撮影へ集中できなくなった経験から、設定を追い込むことだけが正解ではなく、撮り直せない場面では安定して撮影を続けることも重要だと感じました。
前方では50mmが使えた。
後方ではもっと長い焦点距離が必要だった。
この二つを同じ日に経験したことで、次に導入するズームレンズへ求めるものがはっきりしました。
この時点ではまだ、ズームレンズを買えば問題がすべて解決すると思っていました。
その後の撮影でも別の課題が次々に出てくるのですが、それも含めて今後の記事で残していきます。
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