ホール会場を攻略せよ。ズームレンズの初陣。

撮影実践・検証

第八回で悩み抜き、ようやく手に入れたズームレンズ。 これを13年前の相棒・EOS Kiss X7に装着し、私は横浜へと向かいました。目的地は「横浜ランドマークホール」。

今回のお目当ては、もちろん「えくすくらめーしょん!」です。しかし、私にはもう一つの目的がありました。それは「初めてのズームレンズ」と「初めてのホール会場」という未知の環境に、自分の体を慣らすこと。

「とにかくたくさん練習がしたい」 その一心で、私はイベントの開演時間に間に合うよう、早めに会場へと滑り込みました。

>>【中古】キヤノン EOS Kiss X7の在庫をカメラのキタムラでチェックする
>>【中古】キヤノン EF-S55-250mm F4-5.6 IS STMの在庫をカメラのキタムラでチェックする

1. 久しぶりに再会

ホールに足を踏み入れると、その広さと天井の高さに圧倒されます。 しかし、練習を始めるには絶好の機会が待っていました。

ステージに現れたのは、第三回の撮影会で初めてシャッターを切らせてもらった子が所属するグループ。まさかこんなに早く、ライブの現場で再会できるとは思っていませんでした。

彼女たちの所属グループは、公式Xのプロフィールに「静止画・動画撮影可能」とはっきり記載されています。カメコとして、こうした公式のルールを事前に確認しておくのは最低限の作法。安心してカメラを構え、私はズームレンズのリングに指をかけました。

ズームリングを回す、その新鮮な感覚

単焦点レンズを使っていた時は、自分の足で距離を稼ぐしかありませんでした。しかし今は、指先一つで推しの表情まで寄れる。

「あ、これは便利だ……」

と感動する一方で、新たな課題も見えてきました。広角端から望遠端へ。目まぐるしく変わる画角の中で、構図をどう安定させるか。撮影会とは違う、ステージ上の激しい動き。

懐かしい顔ぶれをファインダーに捉えながら、私は夢中でシャッターを切り続けました。練習のつもりで始めた撮影でしたが、気づけば「どうすればもっと彼女たちの輝きを写し止められるか」という思考の渦に飲み込まれていました。

2. カメラに任せられるところは、思い切って任せる

前回のライブハウス撮影での一番の反省点。それは、ホワイトバランスの設定にこだわりすぎたことと、ライブビュー撮影に執着してしまったことでした。

「自分でコントロールしたい」という欲求が裏目に出て、画面が不自然に青かったり、緑がかってしまったり……。さらには、ライブビュー撮影の遅さにピントが追いつかず、シャッターチャンスを逃し続けていました。

今回は、その反省を徹底的に活かしました。

迷いを断つための「オート」

まず、ホワイトバランスは最初から最後まで「オート」に固定。13年前の機種とはいえ、天下のキヤノンです。複雑な照明が入り乱れるホール会場において、私の未熟な判断よりもカメラの演算を信じることにしました。

結果は大正解でした。 前回のような色の不自然さは消え、安定した色合いでステージを捉え続けることができたのです。

ファインダーで世界を切り取る

そして、撮影スタイルも根本から変えました。 ライブビューはあくまで「明るさと色合い」の最終確認用。写真撮影時は、すべてファインダーを覗くことに決めたのです。

一眼レフにおいて、ファインダー撮影はカメラが持つ本来のスピードを引き出す唯一の方法。AF方式も「1点AF」に設定し、ピントを合わせるポイントをあらかじめ固定しました。

「ファインダーのどの位置に被写体を持ってくればピントが合うか」を自分の中で明確にしたことで、迷いが消えました。ピント合わせにかかる時間は劇的に短縮され、前回感じていたあの「不自由なもどかしさ」は、そこにはありませんでした。

カメラに任せられるところは、すべて任せる。 その分、私は「構図」と「タイミング」という、人間にしかできない判断に全神経を注ぐことができたのです。

3. ファインダー越しに見る、広いステージで躍動する推しの姿

ついに、その時がやってきました。 軽快なテンポのSEが会場に響き渡り、メンバーが次々と広いステージへ。ファインダー越しに見る彼女たちは、スポットライトを浴びて、言葉を失うほどに輝いていました。

ここからは、私の「オタクとしての記憶」と「カメコとしての指先」の戦いです。

1曲目:Kiss Kiss

可愛らしいダンスが特徴的な、ミドルテンポの楽曲。 普段は10%くらいの「ゆるい振りコピ」で楽しんでいた曲ですが、今回は違います。振りを知っているということは、「どこで誰が最高のポーズを決めるか」が分かっているということ。 ここぞというシャッターポイントでカメラを構える。知識が技術を補ってくれる感覚がありました。

2曲目:たぶんぜったいあいしてる!

一転して、コールとミックスで会場が一体になる盛り上げ曲。 喉からは自然とコールが漏れ、体はリズムを刻みたがります。声を出し、全力で現場を楽しみながら、それでも視線はファインダーの中の推しを離さない。器用なのか不器用なのか分からない、カメコならではのマルチタスクです。

3曲目:みっどないとじゃーにー

この辺りから、私の中で「せめぎ合い」が始まります。 この曲も振りコピで楽しんできた曲。体が勝手にサビの振りをなぞろうとする。 「踊りたい。でも、今のこの最高の表情を写し止めたい」 振りコピしたい自分と、撮影したい自分。自分自身と戦いながら、一瞬の隙を突いてシャッターを切る。ファインダー越しの葛藤は、もはや一つの「競技」のようでした。

4曲目:Shiny Night

今の「えくしょん」で最も盛り上がる、最高潮のアップテンポナンバー。 会場のボルテージに合わせて、私のシャッターを切る勢いも増していきます。ホールの広さを活かしたダイナミックな動きを、ズームレンズで追いかける。声を出し、汗をかき、夢中で指を動かしました。

5曲目:めたばーす

ラストは、彼女たちを代表するゆったりとした名曲。 激しいダンスとは違い、一人ひとりの表情をじっくりと見つめる時間が流れます。 「この曲なら、少しシャッタースピードを落としてもいけるはず」 興奮で高まっていた設定を、冷静に調整し直す。 躍動する姿だけでなく、しっとりとした空気感までをKiss X7に刻み込みたい。そんな思いで、最後の一枚まで集中力を切らさずに挑みました。

4. 今回の設定

備忘録を兼ねて、今回のKiss X7の設定をまとめておきます。

項目設定値備考
シャッタースピード1/500 〜 1/1500当初は1/250想定でしたが、会場が明るかったため爆速化。
F値4.0 〜 5.6基本は開放。遊びでF8.0やF11.0も試しましたが、ズームの利便性を優先。
ISO感度オート(上限6400)ほぼ全枚数が上限の6400。 13年前の機種の限界が見えた瞬間。
ホワイトバランスオート終始安定。現代のカメラ技術に頼って正解でした。

今回の環境において、露出(明るさ)に関する設定には非常に満足しています。13年前のカメラでも、適切な設定さえ見つければ、最新のホール照明の下でアイドルを鮮明に写し出すことは十分に可能でした。

5. カメラの設定は悪くなかった。しかし……。

設定に納得し、意気揚々と撮影データを大きな画面で確認した私を待っていたのは、別の絶望でした。

確かに、ステージ上の彼女たちの姿は鮮明に映っていました。しかし……。

「構図があまい。ピントの位置が、全然違う」

画面の変な端っこに寄ってしまったターゲット。撮りたい子の頭上に広がる、意図しない不自然な空間。そして何より、複数人のショットで「そっちじゃない!」という子にピントが合っている写真の数々。

あまりの「センスのなさ」の露呈に、変な意味で手が震えました。

カメラは私の意図通りに光を捉えてくれましたが、「誰を、どう切り取るか」という表現の根幹において、私は完全に敗北していたのです。こればかりはカメラの性能のせいにはできません。自分の「腕」と「目」の問題。

悔しいですが、やるべきことはシンプルです。数をこなし、現場の空気に飲まれず、冷静に被写体を追い続ける練習あるのみ。この「震え」を、いつか自信に変える日まで。


6. 次回予告

全10回を予定しているこの「初心者カメコ奮闘記」も、次回でいよいよ区切りとなります。

撮影会から始まり、路上、ライブハウス、そしてホール。今後私が参加するであろう全ての環境を、この短い期間で網羅することができました。

次回は、これまでの戦いを共にした現在の装備の振り返りと、この先に私が見据えている「カメコとしての展望」についてお話ししたいと思います。


私、よしおの活動拠点はこちら:

Xでは日常の呟きや、練習で撮った写真などを投稿しています。
→ よしおのX

Instagramにはライブや撮影会で撮った写真を作品としてまとめています。
→ よしおのInstagram

note(毎週日曜日更新)
→ よしおのnote

コメント

タイトルとURLをコピーしました