撮影距離で背景ボケはどう変わる?18mm・35mm・55mmをF5.6で比較

55mm・F5.6で撮影距離を約1m、2m、4mと変えた遊具の背景ボケ比較 撮影実践・検証

これまで、F値や焦点距離、被写体と背景の距離を変えながら、背景ボケがどう変わるのかを撮り比べてきました。

以前、屋外で焦点距離による背景ボケを比較したときには、被写体の大きさをなるべく揃えるため、焦点距離を長くするほどカメラを後ろへ移動して撮影しています。

→ 焦点距離による背景ボケを屋外で比較した記事

そこで気になったのが、

同じ焦点距離・同じF値で、被写体までの撮影距離を変えたら背景ボケはどう変わるのか?

ということでした。

今回は18-55mmのズームレンズを使い、F5.6に固定。18mm・35mm前後・55mmのそれぞれで、被写体までの距離を約1mから約4mまで変えながら撮影しました。

被写体の大きさは揃えません。

撮影距離を変えれば、当然、被写体が画面に写る大きさも変わります。その違いも含めて、実際の撮影では背景ボケがどう見えるのかを比べてみます。

今回の条件では、同じ焦点距離なら撮影距離が短い写真ほど背景のボケを確認しやすくなりました。ただし、焦点距離によってその見え方にはかなり違いがありました。

今回比較する「背景ボケ」

今回の被写体は、公園にある遊具です。

ピントは遊具の一番手前にある赤い部分に合わせました。

今回「背景」として主に見ているのは、遊具のさらに後ろにある芝生や木々です。

単純に背景が不鮮明になっているかだけでなく、背景がぼけることで、被写体である遊具が背景からどのくらい分離して見えるかを中心に比較します。

撮影条件

今回の撮影では、次の条件を基本的に固定しました。

  • 使用レンズ:18-55mmズームレンズ
  • F値:F5.6
  • 焦点距離:18mm/35mm前後/55mm
  • 撮影距離:約1m/約1.5m/約2m/約3m/約4m
  • 被写体:同じ遊具
  • 遊具と背景の位置関係:固定(カメラのみ移動)
  • ピント位置:遊具の一番手前側
  • 撮影方法:手持ち

撮影距離は撮影時にアプリで確認しながら、おおむね狙った距離になるよう調整しました。

ただし、アプリで測定した実測値の記録が残っていないため、この記事では「約1m」のように表記します。

また、手持ち撮影なので、カメラの高さや向き、構図は完全には一致していません。

今回は被写体の大きさを揃えるためのトリミングなども行っていません。撮影距離を離せば遊具が小さく写ることも含めて、そのまま比較します。

なお、今回はF5.6に固定しています。

F値そのものを変えたときの背景ボケについては、以前こちらの記事で撮り比べています。

→ F値による背景ボケを比較した記事

18mmでは、近づいても背景からの浮き上がりは弱かった

まずは18mmです。

18mm・F5.6で遊具までの撮影距離を約1m、1.5m、2m、3m、4mと変えた背景ボケの比較写真
18mm・F5.6で撮影距離を約1mから約4mまで変えて比較。被写体の大きさは揃えていません。

約1mでは、遊具が画面の大部分を占めています。

そのため被写体そのものの存在感はありますが、写真を見てみると、背景ボケによって遊具が浮き上がっているという感じはあまりしませんでした。

撮影距離を離していくと遊具が小さくなり、芝生や木々など周囲の風景が占める割合が増えていきます。

3m、4mあたりでは、背景ボケによって遊具だけが分離しているというより、「風景の中に遊具がある」写真という印象です。

18mmについては、撮影前に予想していた結果と比較的近いものでした。

今回のF5.6という条件では、1m程度まで近づいて被写体を大きく写しても、背景ボケによる浮き上がりはそれほど強く感じませんでした。

35mmは1m付近なら背景ボケによる分離を感じる

続いて35mm前後です。

35mm前後・F5.6で遊具までの撮影距離を約1m、1.5m、2m、3m、4mと変えた背景ボケの比較写真
35mm前後・F5.6で撮影距離を約1mから約4mまで変えて比較。近距離では背景ボケによる分離を感じました。

約1mでは、18mmよりも後方の芝生や木々がぼけています。

遊具と背景の見え方にも差があり、背景ボケによって遊具が浮き上がっている感じが多少ありました。

約1.5mでも背景ボケは確認できますが、そこまで強くぼけている印象ではありません。

2mまで離れると、背景ボケによって遊具が浮き上がっている感覚はかなり弱くなりました。その先の3m、4mも、遊具を周囲の風景と一緒に見せる写真という印象が強くなります。

撮影前は、35mmなら近距離でもう少し背景がぼけるのではないかと予想していました。

今回の3つの焦点距離の中では、35mmの近距離が予想していたほどボケなかったことが印象に残りました。

55mmでは近距離の背景ボケがかなり分かりやすい

最後は55mmです。

55mm・F5.6で遊具までの撮影距離を約1m、1.5m、2m、3m、4mと変えた背景ボケの比較写真
55mm・F5.6で撮影距離を約1mから約4mまで変えて比較。今回の3つの焦点距離では、近距離の背景ボケがもっとも分かりやすく感じました。

今回、もっとも背景ボケの違いを感じたのが55mmでした。

約1mでは遊具が画面の大部分を占めています。

さらに、後方にある芝生や木々だけでなく、ピントを合わせた赤い部分より後ろにある遊具も、18mmや35mmと比べてかなりぼけて見えます。

約1.5mでも同じ傾向があり、ピントを合わせた部分と、その後ろとの違いが分かりやすく感じました。

2mでは1mほどではないものの、遊具の奥側にもまだ多少のボケが見えます。

一方、3m、4mまで離れると、遊具自体の奥行きによるボケはほとんど感じなくなりました。それでも、さらに後ろにある芝生や木々には多少の背景ボケが残っています。

55mmについては、3つの焦点距離の中でもっとも事前の予想に近い結果でした。

ただし、約1mの写真を見ると、遊具が画面の大部分を占めています。

背景ボケという点では、今回の3つの焦点距離の中でもっとも違いを感じましたが、背景をぼかすために近づけば、それだけで実際の撮影でも使いやすくなるわけではありません。

欲しい構図に対して被写体が大きくなりすぎる可能性もあります。

近い距離ほどボケは確認しやすかった。でも、それだけでは決められない

今回、F5.6に固定して、18mm・35mm前後・55mmのそれぞれで撮影距離を変えてみました。

今回の条件では、同じ焦点距離で比べると、撮影距離が短い写真ほど背景のボケは確認しやすくなりました。

ただし、「背景がぼけていること」と「背景ボケによって被写体が浮き上がって見えること」は、今回の写真では必ずしも同じではありませんでした。

18mmでは1mまで近づいても、背景ボケによって遊具が浮き上がる感じはあまりありません。

35mmでは1m付近で多少感じられましたが、1.5mではそれほど強くなく、2m以降ではかなり弱く感じました。

55mmでは1m、1.5mあたりで背景ボケが分かりやすく、2mでも多少残っています。3m、4mでは遊具自体の奥行きによるボケはほとんどなくなりましたが、さらに後ろの背景には多少のボケが残りました。

一方で、55mm・約1mでは遊具そのものがかなり大きく写っています。

つまり今回の実験では、背景をぼかしやすい条件と、自分が実際に撮りたい構図が必ずしも一致するとは限らないことも分かりました。

背景ボケだけを考えて撮影距離を短くするのではなく、被写体をどのくらいの大きさで写したいのか、背景をどのくらい見せたいのか、その背景をどのくらいぼかしたいのかを考えながら、焦点距離と撮影距離を組み合わせていく必要がありそうです。

85mmが「ポートレート向き」と言われる理由も少し分かった気がする

ポートレートについて調べていると、85mmの単焦点レンズを「ポートレート向き」と紹介しているのをよく見かけます。

もちろん、今回は最大55mmまでしか試していないので、今回の結果だけで85mmについて結論を出すことはできません。

ただ、今回、焦点距離が長く、撮影距離が短い条件で背景ボケが分かりやすくなったのを実際に見たことで、85mmの単焦点レンズを「ポートレート向き」と言う人が多い理由も、少し分かった気がしました。

今後、屋外ポートレートや屋外の撮影会では、焦点距離が長めのレンズや、ズームレンズなら望遠端を使った撮影も試してみたいと思います。

今回のように背景ボケだけを見るのではなく、実際に人物を撮ったときに、焦点距離や撮影距離によってどのような違いが出るのかも確かめてみたいところです。

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