前回のスタジオ撮影会では、SIGMA 30mm F1.4 DC HSM | Artを一本だけ使って撮影しました。
焦点距離については、自分が撮りたかった構図にかなり合わせやすく、24mmや50mmを使っていたときに感じていた「画角が広すぎる」「距離が足りない」という悩みはかなり減りました。
→ 【撮影会実践】SIGMA 30mm F1.4一本でスタジオ撮影。使いやすい焦点距離と、F1.4で見えた被写界深度の課題
その一方で、撮影後にPCで写真を確認すると、新しい問題が見つかりました。
顔にはピントが合っているのに、手前側まで自分が意図したようにシャープに見えない写真がある。
特に、モデルさんへ近づいて撮ったバストアップの写真で気になりました。
今回の撮影ではF1.4の開放に固定しています。
そこで初めて、
「背景を大きくぼかせるF1.4を使えば、それでいいわけではないのでは?」
と考えるようになりました。
今回は、撮影した写真を振り返りながら、F1.4と被写界深度について、この時点で分かったことを整理します。
1. 今回はF1.4の開放に固定して撮っていた
今回の撮影で使ったレンズは、SIGMA 30mm F1.4 DC HSM | Artです。
主な設定は次のとおりでした。
- 絞り:F1.4固定
- ISO感度:100または200
- シャッタースピード:撮影中に明るさを確認しながら調整
F1.4に固定した理由は、できるだけ背景をぼかして人物を目立たせたいと考えていたからです。
当時の自分には、
「F1.4まで使えるレンズなのだから、せっかくなら開放で撮りたい」
という意識もかなりありました。
撮影中は、写真の明るさや背景のボケ方について大きな違和感はありませんでした。
そのため、現場ではF値を変える必要をほとんど感じていません。
問題に気づいたのは、自宅へ戻って写真を大きく表示してからです。
2. 顔には合っている。でも手前側がボケて見えた
特に気になったのは、モデルさんへ近づいてバストアップで撮った写真でした。
目や顔を見ると、ピントそのものは合っているように見えます。
ところが、そこから少し手前側にある身体や衣装を見ると、自分が思っていた以上にぼけていました。
撮影中は、
「顔にピントが合っているから大丈夫」
と考えていました。
しかし、自分が撮りたかった写真では、顔だけではなく、衣装を含めたもう少し広い範囲までシャープに見えてほしかった。
つまり、
カメラがピントを外したこととは別に、ピントが合って見える範囲そのものが自分の意図より狭かった
という問題がありました。
ここで気になったのが、被写界深度です。
この日に撮影した写真はInstagramに掲載しています。今回、被写界深度について考えるきっかけになった撮影と同じ日の作例です。
3. 被写界深度とは、ピントが合って見える前後の範囲
被写界深度とは、簡単に言うと、
ピントを合わせた位置の前後で、ピントが合っているように見える範囲
のことです。
F値を小さくすると被写界深度は浅くなりやすく、F値を大きくすると深くなりやすくなります。
今回使っていたF1.4は、このレンズで使えるもっとも小さいF値です。
そのため、同じ焦点距離・撮影距離でF2.8などと比べた場合、F1.4の方がピントが合って見える前後の範囲は狭くなります。
ただし、被写界深度はF値だけで決まるものではありません。
焦点距離や被写体までの距離などによっても変化します。
そのため、
「F1.4だから必ず手前がボケる」
という単純な話ではありません。
4. 近づいて撮った写真ほど気になった理由
今回、自分が特に気になったのは、バストアップなど比較的モデルさんへ近づいて撮った写真でした。
一方で、ウエストアップや膝上など、少し離れて撮った写真では、それほど気にならないものもありました。
ここで関係してくるのが、撮影距離です。
同じカメラ・焦点距離・F値で比べると、被写体へ近づいて撮るほど被写界深度は浅くなります。
さらに、人物には奥行きがあります。
顔と身体、手や衣装がすべてカメラから同じ距離にあるわけではありません。
そのため、顔へピントを合わせても、前後方向に離れている部分は被写界深度から外れてぼけて見えることがあります。
今回の写真では、
F1.4という小さいF値と、近い撮影距離、被写体の前後方向の奥行き
が重なったことで、自分が想定していた以上にピントが合って見える範囲が狭くなった可能性があります。
5. 「ピントが甘い写真」をすべて被写界深度のせいにはできない
ここで気をつけたいのは、写真を見て「シャープではない」と感じた原因が、すべて被写界深度とは限らないことです。
今回の撮影でも、AF(オートフォーカス)が自分の狙った場所とは違うところへ合ってしまった写真はありました。
また、モデルさんや撮影者が動けば、被写体ブレやカメラブレによってシャープに見えなくなる場合もあります。
つまり、
AFが外れた写真
と、
狙った位置にはピントが合っているが、被写界深度が浅いため別の部分がぼけた写真
は分けて考える必要があります。
今回自分が気になったのは、後者でした。
顔はシャープに見える。
それでも、自分が見せたかった身体や衣装までシャープに見えない。
そこで初めて、単に「ピントが合ったかどうか」だけではなく、
「どこからどこまでピントが合って見えてほしいのか」
を考える必要があると気づきました。
6. F1.4そのものが悪いわけではない
今回の結果だけを見ると、
「それならF1.4を使わなければいい」
とも考えられます。
ただ、自分はそういう結論にはしていません。
F1.4には背景を大きくぼかしやすいという特徴があります。
また、同じシャッタースピード・ISO感度で比べれば、F値を大きくした場合より多くの光を取り込めます。
自分が狙っている写真によっては、F1.4の浅い被写界深度そのものを表現として使うこともできます。
問題だったのは、
F1.4を使ったことではなく、構図や撮影距離が変わってもF1.4のまま撮り続けていたこと
だったのではないか、と考えました。
背景を大きくぼかしたい写真。
顔を強く見せたい写真。
衣装や身体まである程度シャープに見せたい写真。
それぞれで、同じF値を使う必要はありません。
7. 次に試したいのは、F値を変えながら撮ること
今回の撮影を振り返って、
「少し絞ったらどう変わるのか」
を試してみたくなりました。
同じ焦点距離・撮影距離で比べれば、F2やF2.8まで絞ることで、F1.4より被写界深度は深くなります。
ただし、この時点では、
「F2にすれば十分」
「F2.8なら顔から衣装まで必ずシャープになる」
といったことはまだ分かっていません。
撮影距離や構図によって条件が変わるからです。
また、F値を大きくすれば取り込める光の量は減るため、その分シャッタースピードやISO感度とのバランスも考える必要があります。
そこで次の撮影会では、
F1.4だけに固定せず、構図や撮影距離に合わせてF値を変えてみる
ことを次の課題にしました。
なお、今回の写真には全体が暖色寄りに見えるものもありました。撮影時のホワイトバランスはオートでしたが、スタジオ内の照明など撮影環境の影響もあるため、「オートだから黄色くなった」とは断定できません。色味については、被写界深度とは別の課題として今後確認していきます。
8. まとめ:F1.4で撮ったからこそ、F値を変える理由が見えてきた
今回の撮影では、SIGMA 30mm F1.4を開放のF1.4に固定して使いました。
撮影中は背景のボケ方にも満足していて、大きな問題を感じていませんでした。
しかし、PCで写真を確認すると、
顔にはピントが合っていても、自分が見せたかった範囲までシャープに見えない写真
がありました。
そこで初めて、被写界深度を意識するようになります。
今回分かったのは、
小さいF値を使えば背景をぼかしやすい一方で、撮影距離や被写体の奥行きによっては、自分が必要とする範囲までピントが合って見えないことがある
ということでした。
そして、F1.4が悪いわけでもありません。
必要なのは、
撮りたい構図や、どこまでシャープに見せたいかに合わせてF値を選ぶこと
だと思います。
とはいえ、この時点ではまだ「どのF値なら自分の狙いに合うのか」は分かっていません。
そこで次の撮影会では、実際にF1.4からF2.8までF値を変えながら撮影してみることにしました。
→ 【撮影会 F値の検証】すべて開放(F1.4)は間違い?SIGMA 30mmをあえて絞って見えた新しい描写
次の記事では、今回ここで立てた「少し絞ったらどう変わるのか」という疑問を、実際の撮影会で試した結果を振り返ります。
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