焦点距離って、実際には何が変わる?
普段撮影するとき、24mm、30mm、50mm、そして55〜250mmの望遠ズームなど、いくつか焦点距離の違うレンズを使っています。
焦点距離については、
- 数字が小さいほど広い範囲が写る
- 数字が大きいほど写る範囲が狭くなる
- 望遠にすると遠くのものを大きく写せる
ということ自体は知っています。
実際に撮影していても、「24mmの方が広く写る」「50mmにすると被写体が大きくなる」という感覚はありました。
ただ、ふと思ったことがあります。
同じ場所から同じ被写体を撮って、焦点距離だけを変えたら、写真は具体的にどのくらい変わるんだろう?
レンズを交換しながら撮影したことはあっても、カメラと被写体の位置をそろえ、焦点距離以外の条件もできるだけ同じにして比較したことはありません。
そこで今回は、24mm・30mm・50mmの3つの焦点距離で同じ被写体を撮影。
焦点距離によって、
- 画角
- 被写体の画面内での大きさ
- 背景として写る範囲
がどのように変わるのか、実際の写真を並べながら確認してみます。
そもそも焦点距離とは?
焦点距離は、レンズに書かれている「24mm」「50mm」などの数字です。
詳しい光学的な説明はいったん置いておくとして、撮影する側から見ると、写真に写る範囲=画角に大きく関係する数字と考えると分かりやすそうです。
一般的には、焦点距離の数字が小さいほど広い範囲を写しやすく、数字が大きくなるほど写る範囲が狭くなります。
今回使っているCanon EOS Kiss X7はAPS-Cセンサーのカメラなので、同じ焦点距離でもフルサイズ機とは実際に写る範囲が異なります。
ただ、今回確認したいのはセンサーサイズによる違いではありません。
同じカメラを使い、焦点距離だけを変えたときに何が変わるのか。
そこに絞って見ていきます。
今回はカメラを動かさず、焦点距離だけを変えてみる
今回の撮影では、ルービックキューブを被写体にしました。
座卓の長辺側の端にルービックキューブを置き、その後ろ約2mのところにある本棚を背景にしています。
カメラからルービックキューブまでは1m弱。
ピントは、ルービックキューブのうちレンズに最も近い角付近を基準に合わせました。
そして一番重要なのが、三脚を使ってカメラの位置を動かさないことです。
被写体も背景も動かさず、レンズを交換することで焦点距離だけを24mm、30mm、50mmと変更します。
今回の撮影条件
- カメラ:Canon EOS Kiss X7
- レンズ:EF-S24mm F2.8 STM/SIGMA 30mm F1.4/EF50mm F1.8 STM
- 撮影モード:Av(絞り優先AE)
- F値:F2.8
- ISO感度:ISO1600
- ホワイトバランス:白色蛍光灯(4000K)
- ピクチャースタイル:スタンダード
- 記録形式:RAW+JPEG
- 掲載写真:JPEG撮って出し
- カメラ位置:三脚で固定
- カメラの高さ・向き:固定
- 被写体位置:固定
- 被写体と背景の位置:固定
- ピント位置:同じ場所を基準
- トリミング:なし
今回はF値をF2.8、ISOを1600に固定しました。
Avモードなのでシャッタースピードだけはカメラに任せています。
焦点距離の違いを見たい実験なのに、焦点距離を変えるたびF値やISOまで変えてしまうと、「何が原因で変わったのか」が分かりにくくなります。
そのため、できるだけ条件をそろえました。
また、写真はLightroomで現像せずJPEG撮って出しを使用します。
特にトリミングをしてしまうと、今回確認したい画角の違いそのものが分かりにくくなるため、撮影時の構図をそのまま使います。
焦点距離を変えて撮り比べてみる
24mm

24mm/F2.8/1/125秒/ISO1600
まずは今回もっとも焦点距離の短い24mmです。
実際に撮ってみると、ルービックキューブの大きさに対してかなり広い範囲が写っています。
画面を9分割したとすると、ルービックキューブは中央の1区画に収まるくらいの大きさです。
背景の本棚だけでなく、その周囲の壁までかなり広く写っています。
さらに左端には、今回特に写そうとしていなかったモニタースタンドのアームまで入りました。
「広い範囲が写る」という言葉そのままではありますが、こうして固定した構図で見ると、被写体だけでなく周囲の情報がかなり多く入ることがよく分かります。
背景についても、本棚そのものを背景にしているというより、「本棚も含めた部屋全体」が背景になっているような印象です。
今回撮った3枚の中では、背景の本も比較的形が分かりやすく、全体的にくっきりして見える範囲が広く感じました。
30mm

30mm/F2.8/1/125秒/ISO1600
続いて30mmです。
24mmからは6mmしか変わっていないので、撮影前にはそこまで大きな差は出ないだろうと思っていました。
実際、24mmと比べて劇的に構図が変わったわけではありません。
それでも並べてみると、少しずつ違っています。
まず、ルービックキューブが24mmより大きく写りました。
背景として写っている範囲も少し狭くなり、24mmでは広く入っていた周囲の情報が画面の外へ出ています。
感覚としては、写真全体が少し被写体へ近づいたように見えます。
もちろん、この撮影ではカメラ自体を前に動かしているわけではありません。
焦点距離を24mmから30mmへ変更したことで画角が狭くなり、その結果として被写体が画面内で大きくなっています。
背景のボケについても、今回の写真では24mmより30mmの方が強く感じました。
ただし、ボケの見え方は焦点距離だけで決まるわけではありません。
今回の実験ではF値や被写体・背景の位置をそろえたうえで、実際の写真ではこのように見えたという観察結果として捉えることにします。
50mm

50mm/F2.8/1/90秒/ISO1600
最後が50mmです。
24mmや30mmと比べると、ここでは違いがかなり分かりやすくなりました。
まず、ルービックキューブが画面内でかなり大きく写っています。
そして背景を見ると、24mmでは壁まで広く写っていたのに対し、50mmではほぼ完全に本棚が背景になりました。
余計な周囲の情報が画面から外れたことで、視線がルービックキューブへ向かいやすくなったように感じます。
また、今回の写真では背景のボケも30mmよりさらに強く見えました。
背景の壁や本棚そのものも、24mmで撮った写真より近くにあるような印象を受けます。
ただし、ここで注意したいのが、「焦点距離を長くしたから遠近感そのものが変わった」と単純に考えないことです。
今回のメイン実験ではカメラ位置を固定しています。
つまり、この比較で直接確認できるのは主に、
画角が狭くなり、同じ位置にある被写体が画面内で大きくなり、背景として切り取られる範囲も狭くなったこと
です。
その結果として、50mmではルービックキューブが写真の主役としてかなり目立つ構図になりました。
並べてみると「○mm」の意味が分かりやすい

3枚を並べると、焦点距離の数字が変わることで何が起きているのかがかなり分かりやすくなります。
一番分かりやすいのは、24mmと50mmの違いです。
24mmでは、ルービックキューブだけでなく、その周囲の座卓や壁、本棚など多くの情報が画面内に入っています。
それに対して50mmでは、写る範囲がかなり狭くなり、背景もほぼ本棚だけになりました。
ルービックキューブそのものも、焦点距離を長くするにつれて画面内で大きくなっています。
今回の比較では、
24mm → 周囲の空間まで写す
30mm → 24mmより少し被写体へ意識が向く
50mm → 被写体を大きく見せ、周囲の情報をかなり減らす
という違いを感じました。
特に24mmの写真を見て、「広角側は情報量が多い」という言葉の意味を改めて実感しました。
単純に「広く写る」というだけではなく、写真の中に何を入れるかをより意識しないと、撮りたくなかったものまで簡単に入ってきます。
今回でいえば、24mmでは左端のモニタースタンドのアームまで写っています。
一方、50mmでは画角が狭くなったことで周囲のものが画面外へ出て、ルービックキューブを主役として見せやすくなりました。
24mmと30mmの差は比較的小さいものの、並べれば確かに違いがあります。
「たった6mm」と考えるより、その数mmの違いでも写る範囲は少しずつ変化すると考えた方がよさそうです。
焦点距離と撮影距離は別々に考えた方がよさそう
ここまでの実験では、三脚を動かしていません。
そのため、焦点距離を長くするとルービックキューブも画面内で大きくなりました。
では逆に、
焦点距離を変えても、ルービックキューブが同じくらいの大きさに写るよう自分が前後へ移動したらどうなるのか?
という疑問も出てきます。
そこで追加で、24mm・30mm・50mmそれぞれについて、ルービックキューブができるだけ同じ大きさになるようカメラを前後に動かして撮影してみました。
※この追加実験では撮影距離を計測していません。

24mmでは、ルービックキューブを同じくらいの大きさに写すため、比較的近い位置から撮影しました。
この写真では、背景が比較的遠くにあるように見えます。

30mmでは24mmより少し離れて撮影。
背景も24mmの写真より近づいたように感じました。

50mmではさらにカメラを後ろへ移動しています。
すると、ルービックキューブの大きさ自体はほぼ同じでも、背景がかなり近くにあるように見えました。

ここで重要なのは、この違いを「焦点距離を変えたから」とだけ考えないことです。
今回は被写体を同じ大きさにそろえるため、焦点距離を変えるたびカメラの位置も変えています。
つまり、
- 焦点距離が変わった
- 撮影距離も変わった
という2つの条件が同時に変化しています。
遠近感や被写体と背景の大きさの関係には、カメラと被写体の位置関係が大きく関係します。
これまで「望遠だと背景が近く見える」「圧縮されて見える」といった表現を目にすることはありましたが、今回実際に試してみて、焦点距離と撮影距離を分けて考える必要があることが少し理解できました。
最初の実験ではカメラを動かさず焦点距離だけを変える。
追加実験では被写体の大きさをそろえるためにカメラも動かす。
この2つを比べると、「焦点距離を変えること」と「自分が前後へ移動すること」は同じではないということが分かりやすくなりました。
実際の撮影では、どの焦点距離をどう使いたい?
今回の実験をしても、「24mmが一番良い」「50mmの方が優秀」という結論にはなりませんでした。
むしろ、何を写真に入れたいのかによって焦点距離を選ぶ必要があると感じます。
たとえば、被写体だけではなく周囲の場所や状況まで含めて撮りたいなら、今回の24mmのような広角側は使いやすそうです。
反対に、周囲に余計なものが多く、できるだけ被写体を目立たせたいなら、焦点距離を長くして写る範囲を狭くする方法も考えられます。
撮影会やライブのように、自分が自由に前後へ動けない状況では、焦点距離によって構図を調整する場面も多そうです。
一方、自由に動ける場所なら、焦点距離だけでなく自分自身が近づいたり離れたりすることも構図作りの一部になります。
これまでは「被写体をどのくらい大きく写すか」ということを中心に焦点距離を考えることが多かったのですが、今回の実験で少し意識が変わりました。
これからは、
背景にどこまで入れたいのか。
逆に、何を画面の外へ出したいのか。
というところまで考えて焦点距離を選んでみたいと思います。
今回の実験で分かったこと
今回、24mm・30mm・50mmを同じ場所から撮り比べてみて、焦点距離の違いを数字ではなく写真として確認できました。
焦点距離を短くすると広い範囲が写り、被写体の周囲にあるものも多く画面へ入ります。
焦点距離を長くすると画角が狭くなり、同じ位置から撮影するなら被写体は画面内で大きくなります。
同時に背景として写る範囲も狭くなり、今回の50mmでは本棚がほぼ画面いっぱいの背景になりました。
24mmと30mmのように数字が近い場合でも、比較すると少しずつ違いがあります。
そして追加実験では、被写体を同じ大きさにしようとすると撮影距離を変える必要があり、その結果、背景の見え方も大きく変わりました。
焦点距離と撮影距離は、分けて考えた方がよさそうです。
「24mmは広い」「50mmは狭い」と言葉で覚えるだけでも撮影はできます。
ただ、今回のように同じ被写体を条件をそろえて撮ってみると、その数字が実際の写真にどう影響しているのかがかなり分かりやすくなりました。
カメラ初心者の自分にとっては、説明を読むだけより、実際に撮り比べた方がずっと理解しやすい実験でした。
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