はじめに
前回のセッション撮影会では、24mmと50mmの単焦点レンズを持っていたものの、撮影中に「どちらを、どんな場面で使うか」まで考える余裕がありませんでした。
24mmは広く写せる一方で、人物を大きく見せたい場面では背景が入りやすい。50mmは人物を大きく写しやすいものの、APS-CのEOS Kiss X7では35mm判換算で約80mm相当の画角になり、室内や人の多い場所では距離を取りにくい。
その中間を埋める目的で購入したのが、SIGMA 30mm F1.4 DC HSM | Artです。
EOS Kiss X7では35mm判換算で約48mm相当の画角になり、24mmより背景を整理しやすく、50mmほど被写体から離れなくても撮れるのではないかと考えていました。
今回は、このSIGMA 30mmを初めて屋外撮影会へ持ち込み、手持ちの24mm・50mmとどう使い分けられるのかを実際の撮影の中で試しました。
結果として、レンズの役割については以前より整理できた一方、F1.4でのピントや前ボケの入れ方など、新しい失敗も見つかりました。
この記事では、焦点距離の使い分けと、SIGMA 30mm F1.4を屋外で使って初めて分かったことを振り返ります。
24mmと50mmの使い分けに迷った最初の撮影会については、こちらの記事で振り返っています。
初めてのセッション撮影会の記事を見る
1. 今回持ち込んだ3本の単焦点レンズ
今回持ち込んだレンズは、24mm・30mm・50mmの3本です。
事前には、それぞれ次のような役割を想定していました。
| レンズ | 35mm判換算の画角 | 事前に想定した使い方 |
|---|---|---|
| EF-S24mm F2.8 STM | 約38mm相当 | 街並みを入れた引きの写真、歩きながらの撮影 |
| SIGMA 30mm F1.4 DC HSM | Art | 約48mm相当 | 人物を中心にしつつ、周囲の雰囲気も適度に残す |
| EF50mm F1.8 STM | 約80mm相当 | バストアップなど、人物を大きく見せる場面 |
数字だけを見ると24mm・30mm・50mmの差はそれほど大きくないようにも見えます。
しかし、実際の屋外撮影では、被写体との距離をどれだけ取れるか、背景に何があるか、周囲に人がいるかによって、使いやすさがかなり変わりました。
2. 50mmは人混みでは距離を取りにくかった
撮影前は、50mmも積極的に使うつもりでした。
EOS Kiss X7では約80mm相当の画角になるため、人物を大きく写しやすく、背景も整理しやすいと考えていたからです。
ところが、下北沢を歩きながら実際の撮影場所を探してみると、すぐに難しさを感じました。
全身や腰上まで入れようとすると、24mmや30mmよりも被写体との距離を取る必要があります。
週末の下北沢では歩行者も多く、撮影のために大きく後ろへ下がると周囲の邪魔になりやすい状況でした。
さらに、この日は雨の予報もあり、撮影中のレンズ交換はできるだけ減らしたいと考えていました。
そのため今回は、50mmを無理に使うのではなく、屋外でも撮影距離を確保しやすい場面が見つからなければ使わないという判断をしました。
50mmそのものが屋外ポートレートに向いていないわけではありません。
今回分かったのは、背景をぼかしたいという理由だけで焦点距離を決めるのではなく、実際に確保できる撮影距離まで考える必要があるということでした。
3. 歩きながら撮る場面では24mmが使いやすかった
撮影のスタートでは、EF-S24mm F2.8 STMを使いました。
24mmはEOS Kiss X7では約38mm相当の画角になるため、30mmや50mmより広い範囲を写せます。
今回のように街を歩きながら撮る場面では、被写体から大きく離れなくても人物と周囲の風景を一緒に入れやすく、人通りのある場所でも比較的取り回しやすく感じました。
また、EOS Kiss X7とEF-S24mm F2.8 STMの組み合わせはかなり軽量です。
撮影位置を細かく変えながら歩く今回のような撮り方では、この軽さも使いやすさにつながりました。
一方で、背景に入る情報も多くなりやすいため、人物を主役として強く見せたい場面では、もう少し画角を狭くしたいとも感じました。
そこで、撮影場所をある程度決めてからSIGMA 30mmへ交換しました。
この日の実際のカラー作例はInstagramにまとめています。24mmや30mmで撮った写真の仕上がりを確認したい場合はこちらからどうぞ。
Instagramでカラー版の作例を見る
4. SIGMA 30mmは今回もっとも使いやすかった
撮影場所を決めてからは、SIGMA 30mm F1.4 DC HSM | Artを中心に使いました。
実際に使ってみると、今回の撮影環境では3本の中で一番バランスが取りやすいと感じました。
24mmより画角が狭いため、人物の周囲に入る背景を整理しやすい。一方で、50mmほど被写体から離れる必要もありません。
下北沢のように背景の情報量が多く、人通りもある場所では、この**「広すぎず、狭すぎない」距離感**が扱いやすく感じました。
購入前に想定していた、
24mmでは広すぎる場面と、50mmでは距離を取りすぎる場面の中間を埋める
という役割は、実際の屋外撮影でも機能したと思います。
ただし、「30mmを買えば撮影が簡単になる」というわけではありませんでした。
このあと写真をPCで確認すると、F1.4という明るいレンズだからこそ気をつけるべき問題も見つかりました。
SIGMA 30mm F1.4を選んだ理由と購入レビューを見る
5. F1.4でピントの失敗が増えた
現在の「F1.4という聖域」は、技術的にも文体的にも全面的に整理します。
SIGMA 30mmを使って最初に感じた課題が、F1.4で撮影した写真のピントでした。
この日は夕方から雨が強くなり、撮影会本番では片手で傘を持ちながら、もう片方の手でカメラを構える場面もありました。
暗くなってきた屋外では、F1.4まで開けられることはシャッタースピードを確保するうえで大きなメリットです。
しかし、F1.4では被写界深度が浅くなります。
そのため、狙った位置からピントが少しずれたり、被写体や撮影者が前後に動いたりすると、意図した場所からピントが外れていることが目立ちやすくなりました。
今回はさらに、
雨の中で片手撮影だったこと、被写体も完全に静止しているわけではなかったこと、背面液晶を使った撮影にもまだ慣れていなかったことなど、複数の条件が重なっています。
したがって、「F1.4だから写真全体が甘くなった」と単純に考えるのは違うと思います。
実際、F値を少し大きくして撮った写真では、F1.4開放よりピントの成功率が高いと感じました。
この撮影をきっかけに、「せっかくF1.4のレンズを買ったのだから常にF1.4で撮る」のではなく、必要な被写界深度や撮影条件に合わせて絞りを変えることを意識するようになりました。
その後、F1.4での失敗を整理した記事はこちらです。
SIGMA 30mm F1.4開放でピントを外した原因を振り返る
さらに、撮影会でF2〜F2.8も実際に使って再検証しました。
F1.4〜F2.8を使い分けて撮影した検証を見る
6. 前ボケは入れれば良いわけではなかった
もう一つ試したのが、植え込みや木の葉を手前に入れてぼかす「前ボケ」です。
当時は、前ボケを入れれば写真に奥行きが出て、それらしいポートレートになるのではないかと考えていました。
ところが撮影後に写真を確認すると、手前の緑が画面内で占める面積が大きすぎて、主役である人物より先に目へ入る写真がありました。
問題だったのは、前ボケという表現そのものではありません。
どの位置に入るのか、どれくらいの面積を占めるのか、被写体に重ならないかまで確認できていなかったことでした。
撮影中は被写体の表情やピントに意識が集中しやすいですが、ポートレートでも画面全体を見る必要があります。
今回の失敗から、前ボケを使うときも、
「入っているか」ではなく、主役を見せるために機能しているか
を確認することが大切だと感じました。
この日の写真は、その後モノクロでも現像しています。カラー版とは印象がかなり変わるので、仕上げの違いも含めて見比べたい場合はこちらからどうぞ。
Instagramでモノクロ現像版を見る
7. まとめ:焦点距離はスペックより「撮れる距離」で考える
今回の屋外撮影会では、24mm・30mm・50mmの3本を持ち込みました。
実際の結果を整理すると、次のようになります。
| レンズ | 現場で感じたこと | 今回の使い方 |
|---|---|---|
| 24mm | 人混みでも被写体との距離を取りすぎずに撮れる。背景は多く入りやすい | 歩きながらの撮影、街の雰囲気を入れる場面 |
| 30mm | 24mmより背景を整理しやすく、50mmほど後ろへ下がらなくてよい | 撮影場所を決めた後のメイン |
| 50mm | 人物を大きく見せやすいが、全身などでは撮影距離が必要 | 今回は人混みと雨のため早めに使用を断念 |
今回一番大きかったのは、焦点距離の違いを数字だけではなく、実際にどれくらい被写体から離れる必要があるかで考えられるようになったことでした。
前回の撮影会では、どのレンズを使うべきか迷ったまま撮影していました。
今回は、
「歩きながら撮るから24mm」
「ここでは人物を中心にしたいから30mm」
「50mmは今の場所では距離を取れないから使わない」
と、少なくとも理由を持って選ぶことができました。
一方で、SIGMA 30mmを使ったことで、F1.4の浅い被写界深度や、前ボケを含めた構図の難しさも新たに見えてきました。
新しいレンズを買ったことで問題が全部解決したのではなく、レンズ選びの迷いが減ったぶん、今度は撮影そのものの課題が見えるようになったというのが今回の結果だったと思います。
この失敗は、その後F値を変えて撮り比べる検証へとつながっていきました。

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