【実践検証】3本の単焦点を使いこなせ!新レンズ「SIGMA 30mm」を手に挑んだ、初めての屋外個別撮影会レポート

撮影実践・検証

はじめに

前回のセッション撮影会では、2本のレンズ(24mmと50mm)を持っていながら、現場の熱量に飲まれて「意図した使い分け」が全くできずに終わってしまいました。
「24mmでは広すぎる、50mmでは近すぎる」。

その隙間を埋めるために要件定義を重ねて導入した新兵器、SIGMA 30mm F1.4 DC HSM | Art。本来はこのレンズを携えてスタジオセッションにリベンジする予定でしたが、カメコの現場はいつも一筋縄ではいきません。お目当てのモデルさんの急なスケジュール変更などもあり、私の作戦ルートは急遽変更を余儀なくされました。

しかし、手元には届いたばかりのシグマがある。そこで私は、本命の推しグループである「えくすくらめーしょん!」(通称:えくしょん)の椎名もあさんが出演する、下北沢での屋外個別撮影会へと狙いを定めました。

スタジオの狭いブースから、下北沢のストリートへ。

過酷な屋外環境を舞台に、3本の単焦点レンズは私の「理想の一枚」を叶えてくれるのでしょうか。思考を止めない検証の第二戦が幕を開けます。

今回の装備と作戦:3本のレンズに与えた「仕様」

スタジオからストリートへと戦場が変わっても、事前に機材の役割(仕様)をロジカルに定義しておくことはエンジニアの基本です。今回バッグに詰めた相棒たちと、事前の作戦は以下の通りです。

ボディ:Canon EOS Kiss X7

レンズ1:EF-S24mm F2.8 STM(パンケーキ)

役割: 被写体と並んで歩きながらのテンポ良いスナップや、下北沢の街並みを開放的に取り込む引きの撮影。

レンズ2:EF50mm F1.8 STM(撒き餌)

役割: 背景を極限までボカし、人混みの影響を排除したクローズアップ(バストアップ)撮影。

レンズ3:SIGMA 30mm F1.4 DC HSM | Art(本命エース)

役割: 35mm判換算で約48mm。今回のメインウェポンとして、会話ができる自然な距離感を保ちつつ、F1.4の明るさとボケ味を活かした勝負どころでの投入。

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当日のスケジュールは、午前11:30から「えくすくらめーしょん!」のライブに参加し、18:00からの個別撮影会までの空き時間を利用して、下北沢駅周辺をロケハンがてら散歩するという計画でした。

現場での立ち回りと、レンズ使い分けの実際

ライブと特典会で最高の熱量をチャージした後、14:30頃に遅めのお昼ご飯として下北沢のラーメンを堪能。そこから夕方にかけて、曇天の空の下、カメラを首に下げて下北沢の街へと繰り出しました。

散歩(ロケハン)を始めてすぐに、最初の機材の壁にぶつかります。背景を大きくボカそうと50mmレンズを試そうとしたのですが、換算80mm相当になるこのレンズで全身や腰上を収めようとすると、被写体とそれなりの距離を取る必要があります。週末の下北沢の人混みの中でそれだけの距離を取ることは、周囲の歩行者の迷惑になってしまいます。また、この日は午後から雨予報。撮影会の時間帯は降水確率70%もあり、なるべくレンズ交換の回数を減らしたかったため、50mmの使用は早々に断念しました。

そこで私は作戦を変更し、もあさんと並んで歩きながらでも自然にシャッターが切れる24mmのパンケーキレンズでスタートすることに。驚くほど軽量なKiss X7との組み合わせは街に溶け込み、テンポよくシャッターを切る感覚を掴むことができました。

そしてロケハンの途中、「ここは」と思う抜群の映えスポットを発見した瞬間、ついに本命の「SIGMA 30mm F1.4」へと換装。そこからは、この標準レンズ1本にすべてを託して本番へと挑むことにしました。

これは24mmで撮ったもの。雨の中での撮影でした。
こちらは30mm。正面に光源のある屋根の下で撮ったので全体的に明るめに撮れました。

新たな環境がもたらした「想定外の洗礼」

16:30頃、それまで持ちこたえていた曇り空から雨足が強くなり、コンビニで急遽傘を購入。18:00からの撮影会本番は、片手に傘を差し、もう片方の手でカメラを保持するという、初心者には極めてハードルの高い「雨中戦」となりました。

新レンズ、SIGMA 30mm F1.4を実戦で使い倒した結果、液晶モニターを見てその描写力には感動したものの、自宅に帰ってPCの大画面で確認すると、多くの課題が浮き彫りになりました。

① F1.4という「聖域」の薄すぎるピント
暗くなりかけた雨のストリートにおいて、F1.4という圧倒的な明るさはシャッタースピードを稼ぐための強力な武器になりました。しかし、絞りを開放(F1.4)のまま撮影した写真は、全体的にピントが甘くなってしまうという結果に。
ポートレート初心者にとって、F1.4が作り出す被写界深度(ピントが合う範囲)の狭さは想像以上で、少しのブレやモデルさんの動きでピント位置がシビアにズレてしまうのです。現場で少し露出を絞って(F値を大きくして)撮影したカットの方が、椎名もあさんの表情がシャープにカチッと静止し、結果的に納得のいく仕上がりになるという生きた学びを得ました。

特に背面液晶を見ながら撮影した写真はほぼ全滅でした。

② 構図の甘さと「前ボケ」のトラップ
せっかくの屋外ポートレートということで、街の植え込みや木の葉をカメラの手前に写し込んで背景のようにボカす「前ボケ」の技術に挑戦してみました。
しかし、仕上がった写真を見ると、ボケた緑が画面の大きな面積を占めすぎてしまい、主役であるはずのもあさんの存在感を喰ってしまっていたのです。
「ただボカせばプロっぽくなるわけではない」。ファインダーの四隅まで冷静に意識する、構図の要件定義が足りていませんでした。

これはちょっと手前の緑が多すぎました。

おわりに:雨のストリートで牙を研ぐ

片手で傘を持ちながらの撮影というハンデはありましたが、それを差し引いても、ピントの制御や前ボケの入れ方など、自分の技術次第でまだまだ改善できた問題点がはっきりと見えた再挑戦でした。

しかし、前回の失敗のように「どのレンズを使っていいか分からずパニックになる」ということは一切ありませんでした。人混みだから50mmを引く、勝負どころだから30mmに替える、という「意図した選択」ができたことは、カメコとして大きな前進です。F1.4 Artレンズの圧倒的なポテンシャルを肌で理解できただけでも、中古で3万円を投資した価値は間違いなくありました。

▼この日、撮影した写真は以下の投稿にまとめました。

撮影会でのレンズの使い分けをマスターし、屋外での光と構図の難しさを知った私が、次に向かう舞台はいよいよ「夜の路上ライブ」です。

次回、「第六回:ストリートライブ撮影編。夜の新宿、煌々と光るライトに翻弄された夜」。
動き回る被写体と複雑な人工の光という、さらなる洗礼が私を待ち受けます。


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