初めての撮影会を終えた私の頭の中は、ある「計算」でいっぱいでした 。 24mm(パンケーキ)では背景が入りすぎ、50mm(撒き餌)ではモデルさんが近すぎる 。 この2本のレンズの間に、撮影会の狭いブースで「全身」から「寄り」までを一本でこなせる「魔法の杖」があるはずだ——。
今回は、慎重派な私がスペックシートと格闘し、最終的に「これだ!」と確信した1本のレンズについて、その思考プロセスをお話しします。
1. 脳内シミュレーション:APS-C機の理想は「31.25mm」
第2回で痛感した通り、私の愛機 EOS Kiss X7(APS-C機)は、レンズの焦点距離が実質1.6倍になります 。 そこで、写真の基本と言われる「50mm」の画角をこのカメラで再現するにはどうすればいいか、逆算してみました。
50 ÷ 1.6 = 31.25
つまり、30mmから35mmの焦点距離を持つレンズこそが、スタジオでモデルさんの全身からバストアップまでを、大きな移動なしでスマートに切り取れる「標準レンズ」になるのです 。
私は以下の条件を「要件」として定義し、調査を開始しました。
- 焦点距離: 30〜35mm(35mm判換算で約48〜56mm) 。
- 明るさ: F1.0台(暗いスタジオでも背景を溶かし、シャッタースピードを稼ぎたい) 。
- 価格: 3万〜5万円以内(現場に行くための予算は死守する) 。
2. 迷い込んだ「もう一枚のパンケーキ」の誘惑
実は、調査の過程で最後まで私を悩ませた「ダークホース」がありました。Canon EF40mm F2.8 STM です 。
すでに持っている24mmと同じ「パンケーキレンズ」で、とにかく薄くて軽い。中古価格も1万円台と、お財布にも非常に優しい…… 。 「パンケーキ2枚をポケットに入れて、身軽に推しを撮る。それも一つの正解じゃないか?」という誘惑が頭をよぎりました 。
しかし、換算64mm相当になるこのレンズでは、撮影会の狭いブースで「全身を収める」という課題に対して、50mm(換算80mm)の時と同じ「下がれない絶望」を味わうリスクが残ります 。 「中途半端な妥協は、結局さらなる出費を生む」。そう自分に言い聞かせ、この選択肢を不採用としました 。
3. 決断の決め手:F1.4という「聖域」と、中古で3万円というコスパ
最終的に私が白羽の矢を立てたのは、SIGMA 30mm F1.4 DC HSM | Art でした 。
このレンズを選んだ理由は、スペックの数値以上に、以下の「圧倒的な優位性」を感じたからです。
- 圧倒的な明るさ: F1.4。パンケーキレンズ(F2.8)に比べて、取り込める光の量は実に4倍です 。
- Artラインの描写力: シグマが「最高の画質」を追求して作るブランドへの信頼感 。
- 理想の画角: 換算48mm。まさに私が求めていた「標準」のど真ん中でした 。
そして、購入前に最後まで慎重に検討したのが「重さ」でした。
SIGMAのArtラインは高画質ゆえに重いというイメージがありましたが、この30mmは単体で約435g。EOS Kiss X7のボディ(約370g)と合わせても、合計で約800gから900gの間に収まります。
ちょうど手元にあったウイスキーのボトルが860g程度。この重さであれば、片手で持ち続けても、あるいは現場で首から下げていても苦にはならない。そう結論づけたことが、購入を後押しする決定打となりました。
中古価格で3万円程度。当初の予算内に収まりつつ、撒き餌レンズを超える「本命の武器」を手に入れる 。 「予算を抑えつつ、最高の結果を出す」というこのブログのコンセプトにおいて、これが私なりの「最適解」でした 。
4. 揃った「三種の神器」
これで、私のバッグには3本の個性が揃いました 。
- 24mm(パンケーキ): 背景を広く入れたい「引き」専用 。
- 50mm(撒き餌): 表情を切り取る「究極の寄り」専用 。
- 30mm(シグマ): 今回導入した、撮影会のエース 。

次回、この新しい武器を手に、ついに本命の推しを撮影します。 「第5回:屋外撮影会編。3本の単焦点を使いこなせ!」 あの日の「気まずい距離感」は、このレンズで解消されるのでしょうか 。
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