第七回で私が下北沢MOSAiCのライブ撮影でやらかした、痛恨の「ホワイトバランス設定ミス」。 家に帰ってPCのモニターに映し出されたのは、本命の推し、椎名もあさんの姿が不自然な黄色に染まった、まさに「絶望の一枚」でした。

「せっかく一番いい表情が撮れたのに、設定一つで台無しにしてしまった……」 最初はそう諦めかけていたのですが、カメラの先輩方がよく口にする「現像」という魔法にすがる思いで、Adobeの「Lightroom」というソフトを導入してみました。
結論から言います。 「カメラは、ピントさえ合っていれば、後からでも写真は救える」のです。今回は、絶望の淵から推しの写真を救い出した、私の初めての現像(レスキュー)作業の記録です。
1. なぜ「失敗した色」が元に戻るのか?(RAWデータの魔法)
現像ソフトで色を直すと聞いて、「上から無理やり色を塗って誤魔化すんでしょ?」と思っていたのですが、仕組みは全く違いました。
私がカメラ(EOS Kiss X7)で保存していたのは「RAW」というデータ形式です。これは直訳すると「生」のデータ。カメラのセンサーが受け取った光の情報を、カメラ内で勝手に色付け(JPEG化)する前の、いわば「素材そのもの」です。 つまり、現場でホワイトバランスの設定を間違えても、RAWデータの中には「本当の色合いの光の情報」がちゃんと残っていたのです。
2. 実践・Lightroomレスキュー大作戦
実際にLightroomを使って、あの黄色の写真を救済していく手順です。
- ステップ①:ホワイトバランス(WB)の正常化 まずは諸悪の根源である色味の修正です。Lightroomの「ホワイトバランス」の項目にあるスポイトツール(ホワイトバランス選択)を使い、写真の中で「本来は白(またはグレー)であるべき部分」をクリックします。さらに「色温度」と「色かぶり補正」のスライダーを微調整すると……一瞬にして、あの不気味な緑色が消え去り、しいなの自然な肌色が蘇りました。
- ステップ②:露出(明るさ)とノイズの最適化 色が戻ると、今度は「写真全体の暗さ」と「ザラザラ感(ノイズ)」が気になってきました。この日は上限いっぱいのISO6400で撮影していたためです。 「露光量」のスライダーを少し上げて明るさを確保しつつ、「ノイズ軽減」の数値を上げてザラつきを滑らかにしていきます。
- ステップ③:主役を引き立たせる微調整 せっかくF1.8という明るい絞り値(単焦点レンズ)で撮って背景がボケているので、よりしいなに視線がいくように「かすみの除去」や「コントラスト」をほんの少しだけプラスして、立体感を出しました。

3. 現像が生み出した「最高の一枚」
そして、完成した写真がこちらです。

あの真っ黄色だった失敗作が、嘘のように鮮やかなライブ写真へと生まれ変わりました。 「ピントを合わせる」「ブレさせない」という物理的な壁さえ現場でクリアしておけば、色や明るさのミスは後からいくらでも、しかも極めて高画質にリカバリーできる。 13年前の型落ちカメラを使っている私にとって、Lightroomという「デジタル暗室」は、圧倒的な戦力アップを意味していました。
4. 次なる課題:現像にも「限界」はある
現像の楽しさに取り憑かれ、過去の失敗写真を次々と蘇らせていった私ですが、やがて「ソフトウェアだけではどうにもならない物理的な壁」にも気づき始めます。 ノイズを消しすぎると肌がのっぺりしてしまうし、暗すぎる写真を無理やり明るくすると画質が破綻する。
「現像でリカバリーできるとはいえ、やっぱり現場で『より良い光』を取り込むに越したことはない」 この気づきが、私を次なる「光(ライティング)」の沼へと引きずり込むことになるのですが……そのお話は、またいつか。
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