暗いライブハウスで撮影していると、何度も悩まされるのが被写体ブレと高ISOノイズのバランスです。
これまでEOS Kiss X7でライブを撮るときは、ISO感度をAUTOにしていました。
ところが、ステージ上で大きく動くメンバーを撮影すると、シャッタースピードが1/350秒〜1/500秒程度では、タイミングによって被写体ブレが残ることがあります。
そこで今回は、
ISO感度を12800に固定して、1/1000秒前後の速いシャッタースピードを使ってみる
ことにしました。
使用した機材は、Canon EOS Kiss X7とEF-S55-250mm F4-5.6 IS STMです。
結果として、速い動きを止めやすくなった手応えはありました。
その一方で、PCでRAWデータを確認すると、今度はかなり強いノイズが残っています。
今回は、
被写体ブレを減らすためにISO12800を使った結果、何が改善し、何が問題になったのか
を振り返ります。
1. ISO AUTOでは6400まで。それ以上を手動で試してみた
EOS Kiss X7では、応用撮影ゾーンの場合、ISO感度を100〜12800まで手動設定できます。
一方、ISO AUTOではISO100〜6400の範囲が基本になります。
→ Canon公式「EOS Kiss X7の主な仕様」
これまでのライブ撮影ではISO AUTOを使っていたため、実質的にはISO6400までの範囲でカメラに感度を任せていました。
その状態では、今回のような暗いライブハウスで望遠ズームを使うと、シャッタースピードをもっと速くしたい場面でも、写真の明るさとの兼ね合いが出てきます。
以前の撮影では1/350秒〜1/500秒前後になることが多く、激しい動きの途中では被写体ブレが残る写真もありました。
そこで今回は、
「ISO6400よりさらに感度を上げれば、同程度の仕上がりの明るさを狙いながら、もう少し速いシャッタースピードを使えるのではないか」
と考えました。
そのため、ISO AUTOをやめてISO12800へ手動設定しています。
2. ISO12800にすると、なぜ速いシャッタースピードを使いやすくなるのか
ここで整理しておきたいのが、ISO感度とシャッタースピードの関係です。
ISO感度を上げても、レンズから入ってくる光そのものが増えるわけではありません。
例えば、絞りとステージの明るさが同じ条件で、
ISO6400・1/500秒
から、
ISO12800・1/1000秒
へ変更すると、ISOは1段上がり、シャッタースピードは1段速くなります。
センサーが光を受ける時間は短くなりますが、ISO感度を上げることで、仕上がりの明るさを近づけることができます。
今回自分が狙ったのも、この関係でした。
つまり、
ISO12800そのものが動きを止めたのではなく、ISOを上げることで1/1000秒前後のシャッタースピードを選びやすくした
ということです。
3. 1/1000秒前後では、動きを止めやすくなった
実際の撮影では、シャッタースピードを1/1000秒前後まで上げることができました。
これまで使っていた1/350秒〜1/500秒程度と比べると、ステージ上で大きく動いている場面でも被写体ブレを抑えやすくなったと感じました。
ダンス中の一瞬の表情や動きを撮った写真でも、
「シャッタースピードが足りなかったためにブレた」
と感じる写真は減りました。
この点では、今回試した設定に手応えがあります。
ただし、
ライブ撮影なら常に1/1000秒が必要
という意味ではありません。
必要なシャッタースピードは、被写体の動き方、撮影する瞬間、焦点距離などによって変わります。
動きが比較的小さい場面なら、もっと遅いシャッタースピードでも十分に撮れることがあります。
今回のライブでは、速い動きを撮る場面で1/1000秒前後が被写体ブレを減らすのに役立ったという結果です。
4. その代わり、ISO12800ではノイズがかなり目立った
撮影中は、被写体ブレが減ったことの方を強く感じていました。
問題がはっきりしたのは、自宅へ戻ってRAWデータをPCで確認してからです。
写真を拡大すると、画面全体に細かなノイズがかなり目立っていました。
特に、暗い部分や均一な背景ではザラつきが分かりやすくなっています。
EOS Kiss X7でISO12800を使った今回の条件では、
被写体ブレを抑えることと引き換えに、高ISOによる画質低下がかなり目立った
という結果になりました。
ここで重要なのは、
「ISO12800だから失敗だった」
と単純に結論づけないことだと思います。
ISO感度を低くして1/500秒に戻せばノイズは減らしやすくなりますが、その代わりに被写体ブレが増える可能性があります。
今回の撮影では、
ノイズを増やしてでも、まず被写体の動きを止めることを優先した
という選択でした。
5. Lightroomでノイズは減らせても、すべて解決するわけではない
撮影後はAdobe LightroomでRAW現像を行いました。
ノイズ除去を使うことで、撮影直後の状態よりザラつきを目立ちにくくすることはできます。
ただ、ノイズ除去を強くすると、今度は肌や衣装の細かな質感まで滑らかになりすぎることがあります。
そのため、
ノイズを減らすことと、ディテールを残すことのバランス
を見ながら調整する必要がありました。
ノイズ除去で見た目を改善することはできても、ノイズによって見えにくくなった細部や質感を、後処理だけで完全に再現できるわけではありません。
今回の経験からも、ノイズ対策をLightroomだけに任せるのではなく、まず撮影時の設定を見直す必要があると感じました。
Lightroomでの現像については、こちらの記事でも実際の作業を振り返っています。
→ 【Lightroom現像実践】セッション撮影会の写真を仕上げる|全体補正・被写体マスクの考え方
6. F値を大きくすればノイズが減るわけではない
今回使用したEF-S55-250mm F4-5.6 IS STMでは、基本的に開放付近で撮影していました。
ここで、
「それならF8などへ絞れば画質が良くなるのでは?」
とも考えられます。
しかし、今回のノイズ対策としては逆方向です。
F値を大きくすると、同じ時間にセンサーへ届く光は少なくなります。
写真の明るさを維持しようとすれば、
- シャッタースピードを遅くする
- ISO感度をさらに上げる
といった調整が必要になります。
今回の目的は被写体ブレを減らすことなので、シャッタースピードを遅くするのは狙いと反対です。
そのため、暗いライブハウスでノイズを減らしたいからといって、単純に絞れば解決するわけではありません。
7. 次に考えたいのは「本当に1/1000秒が必要か」
今回の撮影で最も大きかった気づきは、
ISOをできるだけ上げて、シャッタースピードもできるだけ速くすることが、必ずしも正解ではない
ということでした。
1/1000秒を使えば、速い動きを止めやすくなります。
しかし、そのためにISO12800が必要になるのであれば、今度はノイズが大きな問題になります。
そこで次に試したいのは、
場面によってシャッタースピードを変えること
です。
例えば、大きく踊っている瞬間なら1/1000秒前後。
比較的動きが少ない瞬間なら1/500秒前後まで下げて、その分ISO感度を抑える。
もちろん、実際にどこまで下げられるかは撮影条件によって変わります。
それでも、
被写体ブレを抑えられる範囲で、必要以上にシャッタースピードを速くしない
ことを意識すれば、ノイズとのバランスを取りやすくなるのではないかと考えています。
8. 明るい単焦点レンズも選択肢の一つ
もう一つ考えられるのが、よりF値の小さいレンズを使うことです。
今回のEF-S55-250mm F4-5.6 IS STMに対して、例えばEF50mm F1.8 STMのような明るい単焦点レンズなら、同じシャッタースピードでもISO感度を下げられる余地があります。
ただし、これも単純な解決策ではありません。
望遠ズームなら撮影位置を変えずに画角を調整できますが、単焦点レンズでは焦点距離が固定されます。
ライブ撮影では、自分が自由に移動できないことも多いため、
明るさと画角の自由度のどちらを優先するか
という別の問題が出てきます。
以前、ライブ撮影で50mm単焦点を使ったときにも、撮影位置によって画角の使いやすさが大きく変わりました。
→ 50mm単焦点は前方でどこまで使える?下北沢MOSAiCで見えた画角の限界
そのため、この時点では明るい単焦点レンズも、
ISO12800のノイズを必ず解決してくれるもの
ではなく、今後試せる選択肢の一つとして考えていました。
その後、実際にEF50mm F1.8 STMを使い、ISO12800のままF2.8〜F4を中心にライブ撮影も試しています。
→ EOS Kiss X7のライブ撮影、設定がようやく固まってきた。ISO12800・F2.8〜F4で新宿SAMURAIを撮る
今回のISO12800+望遠ズームでの経験が、その後の設定を考える材料になりました。
9. まとめ:ISO12800は「失敗」ではなく、ブレとノイズの交換条件だった
今回のライブでは、EOS Kiss X7のISO感度を12800に固定し、1/1000秒前後のシャッタースピードを使いました。
結果として、以前より速い動きを止めやすくなったと感じています。
一方で、RAWデータをPCで確認すると、高ISOによるノイズがかなり目立ちました。
今回の経験から分かったのは、
被写体ブレを減らすためにシャッタースピードを速くすると、同程度の仕上がりの明るさを狙うためにISO感度を上げる必要が出てきて、その分ノイズが目立ちやすくなる
という関係です。
だから、
「ISO12800は使ってはいけない」
でも、
「ライブなら1/1000秒にしておけばいい」
でもありません。
必要なのは、
被写体ブレを抑えられる範囲で必要以上にシャッタースピードを速くせず、その場面に合ったISO感度とのバランスを探すこと
だと思います。
今回は被写体ブレを減らすことを優先したことで、ノイズという別の課題がはっきり見えました。
それ以降は、すべてを同じ設定で撮るのではなく、動きの大きさやレンズの明るさも含めて設定を考えるようになりました。
おたふぉと。の活動拠点はこちら:
Xでは日常の呟きや、練習で撮った写真などを投稿しています。
→ よしおのX
Instagramにはライブや撮影会で撮った写真を作品としてまとめています。
→ よしおのInstagram
note(毎週日曜日更新)
→ よしおのnote


