2026年8月25日、新宿SAMURAIでライブ撮影をしてきました。
この日のライブ撮影全体については、前回の記事で撮影設定や実際に撮って感じたことを振り返っています。
今回は、その中で少し試していたMF撮影だけを取り上げます。
とはいっても、最初から、
「ライブ撮影でMFが使えるか検証しよう」
と考えていたわけではありません。
撮影している途中で、
「この曲なら、試しにMFでも撮れるかもしれない」
と思ったのが始まりでした。
実際に使ってみると、難しさがある一方で、普段使っているAF(オートフォーカス)よりMFの方が都合のよい場面もあることに気づきました。
今回は撮影後にRAWデータの記録や自動選別結果も確認しながら、ライブ撮影でMFを使ってみて何が分かったのかを振り返ります。
今回MFを試した撮影条件
今回使用した機材と主な設定は次の通りです。
- カメラ:Canon EOS Kiss X7
- レンズ:EF50mm F1.8 STM
- ISO:12800
- シャッタースピード:1/1500秒
- MF使用時のF値:F3.5、F2.8、F1.8
この日のイベント全体では198枚撮影しました。
ただし、そのすべてでMFを使ったわけではありません。
MFを試したのは、比較的テンポがゆったりしていて、演者の前後移動もそれほど激しくないと感じた一曲の中です。
撮影設定そのものについては前回の記事で扱っているので、今回は詳しく繰り返しません。
ここでは、MFに切り替えたことで何が変わったのかを中心に見ていきます。
観客越しでは、MFの方が撮りやすい場面があった
今回、一番大きな発見だったのがこれです。
前にいる観客越しにステージ上の演者を撮るとき、MFの方が撮りやすい場面がありました。
ライブハウスでは、自分とステージの間に観客がいます。
その状態でAFを使っていると、タイミングによっては手前にいる観客へピントを持っていかれることがありました。
一方、MFでは自分でフォーカス位置を決めます。
一度ステージ上の演者にピントを合わせたあと、自分でフォーカスリングを動かさない限り、手前に観客が入ってきたからといってフォーカス位置が勝手に変わることはありません。
そのため今回のような状況では、
「手前に人がいるからこそ、MFの方が都合がよい」
という場面がありました。
もちろん、ライブ撮影ではMFの方がAFより優れている、という意味ではありません。
今回の撮影位置や状況では、MFを使うメリットが実際にあった、という話です。
横移動なら、思ったよりMFでも対応できた
もう一つ感じたのが、演者の動く方向による違いです。
比較的ゆったりした曲で、演者がステージ上を左右に移動している場面では、一度ピントを合わせると思っていたよりMFでも撮影できました。
左右に動いていても、自分と演者との距離がそれほど変わらなければ、必要なピント位置も大きくは変わりません。
逆に難しかったのが、演者がステージの前後方向へ動いたときです。
こちらへ近づいたり、ステージの奥へ移動したりすると、カメラから演者までの距離そのものが変わります。
MFでは、その変化に合わせて自分でピントを調整しなければいけません。
構図を追いながらピントリングも操作する必要があるため、今回の自分にはかなり難しく感じました。
つまり今回の感触では、
「動いている人物だからMFでは無理」なのではなく、「カメラと被写体の距離がどれくらい変化するか」で難易度が大きく変わる
ということになります。
MFでも撮れそうだと感じた一曲では、25枚をMFで撮っていた
この日のイベント全体では198枚撮影しています。
その中でMFを試したのは、
「この曲ならMFでも撮れそうだ」
と感じた一曲でした。
撮影後、その曲で撮影した35枚の記録を確認したところ、内訳は次のようになっていました。
| フォーカス | F値 | 撮影枚数 |
|---|---|---|
| MF | F3.5 | 7枚 |
| AF | F3.5 | 6枚 |
| AF | F2.8 | 4枚 |
| MF | F2.8 | 5枚 |
| MF | F1.8 | 13枚 |
| 合計 | — | 35枚 |
この一曲の中では、
- MF:25枚
- AF:10枚
でした。
自分では「少しMFも試してみた」くらいの感覚だったのですが、記録を見ると、この曲では25枚もMFで撮影していました。
イベント全体198枚のうち25枚を無作為にMFで撮った、という話ではありません。
MFでも撮れそうだと思った一曲の中で、35枚中25枚をMFで撮っていた
という結果です。
振り返ってみると、激しく動く場面でもMFを使い続けたわけではなく、自分なりにMFを試せそうな条件を選んでいました。
その25枚のうち、自動選別基準を通過したのは2枚
MFで撮影した25枚について、普段使っている自動評価の基準でも確認しました。
現在の基準は、
- 被写体のシャープ:60以上
- 目のシャープ:50以上
の両方を満たしていることです。
結果は次の通りでした。
| F値 | MF撮影枚数 | 基準通過 | 通過率 |
|---|---|---|---|
| F3.5 | 7枚 | 1枚 | 約14% |
| F2.8 | 5枚 | 1枚 | 20% |
| F1.8 | 13枚 | 0枚 | 0% |
| 合計 | 25枚 | 2枚 | 8% |
MFで撮影した25枚のうち、自動選別基準を通過したのは2枚。
基準通過率は8%でした。
ただし、ここでの8%は、
MFを試した一曲の中で撮影した25枚についての結果
です。
今回のイベント全体におけるMFの成功率でもなければ、ライブ撮影一般におけるMFの成功率でもありません。
さらに、この数字をそのまま「写真として使える割合」と考えることもできません。
「基準を通ったのが2枚」と「使える写真が2枚」は違う
今回の8%という数字は、あくまで、
MFで撮影した写真のうち、普段使っている自動選別基準を通過した割合
です。
「25枚撮って、写真として残せそうなのが2枚しかなかった」という意味ではありません。
基準に届かなかった写真の中にも、
- 目のシャープは十分な数値が出ている
- 被写体のシャープだけが基準に届いていない
- 基準には届かないものの、極端なピンボケには見えない
といった写真がありました。
そのため、自動選別では外れた写真でも、実際に現像して確認した結果によっては残す可能性があります。
自動評価は、撮影した写真を効率よく絞り込むための一つの基準です。
最終的に写真として採用するかどうかは、自分の目で確認したうえで決める必要があります。
今回の結果についても、
「MFの成功率は8%だった」ではなく、「普段の自動選別基準を通過した割合が8%だった」
と考えるのが正確だと思います。
F1.8でMFを使うのはかなり難しかった
今回、少し気になったのがF値ごとの結果です。
F3.5では7枚中1枚、F2.8では5枚中1枚が基準を通過しました。
一方、F1.8では13枚撮影して、基準を通過した写真はありませんでした。
ただし、これだけで、
「ライブのMFならF2.8がいい」
「F1.8ではMFは使えない」
と考えることはできません。
今回の撮影では、
- 曲の中での演者の動き
- 撮影した瞬間
- 被写体との距離
- 構図
などの条件が揃っていないからです。
今回はF値ごとの性能を比較するための実験ではありません。
その一方で、F1.8でMFを使う難しさについては、技術的にも理由があります。
一般的に、同じ撮影距離などの条件であれば、F値を小さくして絞りを開けるほど被写界深度は浅くなります。
つまり、ピントが合って見える前後の範囲が狭くなります。
F1.8では、F2.8やF3.5よりも少しの距離変化やピント位置のズレが結果に出やすくなります。
今回の撮影では実際の撮影距離を正確に記録していないため、「何cmまでピントが合う」といった具体的な数値までは出せません。
今回言えるのは、
F1.8開放の状態で、動く人物へMFでピントを合わせ続けるのはかなり難しかった
というところまでです。
今回、MFが使いやすいと感じた場面
今回の経験を整理すると、MFを使いやすいと感じたのは次のような状況でした。
- 前方に観客がいる
- 観客越しにステージ上の演者を狙う
- 演者の前後移動が少ない
- 左右への移動が中心
- 比較的ゆっくりした曲
- 単焦点レンズを使っている
特に大きかったのは、やはり観客越しの撮影です。
AFでは手前へピントを持っていかれることがありますが、MFなら自分で決めたフォーカス位置を維持できます。
ライブ撮影でMFを使う理由として、これは今回実際に体感できたメリットでした。
また今回、実際にMFへ切り替えたのも、比較的動きが穏やかな一曲でした。
撮影中にも無意識のうちに、
「この状況ならMFを試せそうだ」
と判断していたのだと思います。
逆にAFを使った方がよさそうな場面
一方、MFでは厳しいと感じた状況もはっきりしていました。
- 演者がステージを大きく前後移動する
- 動きが激しい
- F1.8のように被写界深度が浅い
- 構図を大きく変えながら撮る
- ピント調整と構図変更を同時に行う必要がある
こうした場面では、構図を追いながらピントも手動で調整し続ける必要があります。
今の自分の技量では、ライブ全体をMFだけで撮ろうとするより、AFを基本にした方が現実的です。
今回MFを試したことでAFが不要になったわけではなく、
AFとMFには、それぞれ使いやすい状況がありそうだ
というのが現在の感想です。
ライブ全体をMFで撮るのは、まだ難しそう
今回MFを試したのは、イベント全体の中でも比較的動きが穏やかで、
「この曲ならMFでも撮れそうだ」
と思った場面でした。
それでも、MFで撮影した25枚のうち、普段の自動選別基準を通過したのは2枚でした。
もちろん、これだけでMF撮影全体の歩留まりを判断することはできません。
一方、実際に撮影していても、演者が前後に大きく動く場面や、動きの激しい曲までMFだけで追い続けるのは、今の自分にはかなり難しいと感じています。
そのため現時点では、ライブ全体をMFで撮影するのではなく、
MFが使いやすそうな条件を選んで試す
という使い方が現実的だと思っています。
MFは「難しい代わりに使うもの」ではなかった
今回MFを試すまでは、
「AFが使えるなら、わざわざMFにする必要はないのでは?」
という感覚もありました。
MFというと、AFが使えないときに仕方なく自分でピントを合わせる方法、という印象も持っていました。
しかし実際には、AFとMFは単純な上位・下位の関係ではありませんでした。
AFには、動く被写体へ素早くピントを合わせられる大きなメリットがあります。
一方MFには、
自分が決めた場所からピントを動かさない
という特徴があります。
今回の観客越しのような状況では、その特徴そのものがメリットになりました。
もちろん、どんな状況でもMFが有効というわけではありません。
それでも、
「難しいけれどMFを使う」のではなく、「MFの方が都合がいいから使う」場面もある
と分かったことは、今回の撮影で得られた大きな収穫でした。
今後も条件がよければライブでMFを試してみたい
とはいえ、今後ライブ撮影をMF中心に変更する予定はありません。
当面、MFでの人物撮影については、撮影会で落ち着いてピントを合わせながら、きちんと人物写真を残せるようになることを目標にしています。
ライブでは、
- 単焦点レンズを使っている
- 比較的動きが穏やかな曲
- 演者の前後移動が少ない
といった条件が揃ったときに、時々MFを試してみようと思います。
逆にズームレンズでは、
- 焦点距離
- 構図
- ピント
の3つを同時に考えることになります。
今の段階では少し大変なので、まずは単焦点レンズでMFの操作に慣れていくつもりです。
将来的には、ライブでもMFで作品として残せる写真を撮れるようになれたら面白そうです。
今回は「ライブMF実験」ではなく、最初の実戦経験
今回の撮影は、本格的なMF実験ではありませんでした。
ライブ中に、
「この曲なら、試しにMFでも撮ってみよう」
と思ったところから始まったものです。
条件を揃えた比較もしていませんし、AFとMFの性能差を検証したわけでもありません。
イベント全体では198枚撮影し、その中の一曲でMFを試しました。
その曲の35枚を確認すると、25枚をMFで撮影していました。
普段の自動選別基準を通過したのは、そのうち2枚。
数字だけを見れば、まだ十分な歩留まりとは言えません。
それでも試してみたからこそ、
ライブではMFの方が都合のよい場面もある
ということを初めて実感できました。
ライブ全体をMFだけで撮るのは、今の自分にはまだ難しい。
F1.8開放で動く人物を追うのも、かなり難しく感じました。
一方で、
前方に観客がいて、演者の前後移動が少なく、比較的ゆっくりした曲
という条件では、MFを使うメリットを感じました。
まだ、
「ライブ撮影でMFは使える」
と結論を出せる段階ではありません。
ただ、
MFを使う理由が一つ見つかった。
今回は、そんな最初の実戦経験になりました。
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