F値を変えるとボケはどう変わる?F1.8〜F16を同じ条件で撮り比べてみた【カメラ初心者の撮影実験】

撮影実践・検証

「F値を小さくすると背景がボケやすい」

カメラを使い始めると、かなり早い段階で目にする説明だと思います。

自分も知識としては知っていました。

ポートレートなどで背景をぼかしたいならF値を小さくする。逆にF値を大きくすると、ピントが合って見える範囲が広がる。

ただ、考えてみると、

同じ被写体を同じ場所から撮って、F値だけを少しずつ変えたら、実際の写真ではどのくらい違って見えるんだろう?

という比較は、今までちゃんとやったことがありませんでした。

そこで今回は、F1.8からF16までF値を変えながら同じ被写体を撮影して、背景のボケ方や被写界深度がどのように変化するのか確かめてみます。


まずはアクスタで撮り比べてXに投稿してみた

今回の撮影実験のきっかけは、かなり思いつきに近いものでした。

自室でアクリルスタンドを撮っていたときに、

「F値を変えながら撮ったら、どれくらい背景のボケ方が変わるんだろう?」

と思い、その場で何枚か撮り比べてみました。

すると、F値が小さい写真では背景が大きくボケ、F値を大きくしていくにつれて背景の形が少しずつ分かるようになりました。

知識として知っていたことでも、自分で同じ被写体を撮って並べてみると、かなり分かりやすい。

実際に最初に撮り比べたときの投稿がこちらです。

この投稿が、今回の撮影実験を始めるきっかけになった最初の記録です。


Xに載せるだけなら十分。でもブログで比較するなら?

最初の撮影でも、

「F値を変えると、確かにボケ方が変わる」

ということは十分確認できました。

ただ、改めて写真を見比べてみると、もう少し条件をそろえて撮ってみたくなりました。

最初の撮影では三脚を使用しておらず、カメラと被写体の距離や構図も完全には固定していません。

さらにMモードのままF値だけを変更していたため、F値を大きくするにつれて写真そのものも暗くなっていました。

もちろん、最初の撮影が間違っていたというわけではありません。

まず気軽に試してみたことで、F値によるボケの変化を実際に体感できました。

そのうえで、

ブログの記事として比較するなら、できるだけF値以外の条件をそろえた方が、何が変わったのか分かりやすそうだ。

と思い、改めて撮影することにしました。


今度は条件をそろえてF1.8〜F16まで撮ってみる

今回の被写体はルービックキューブです。

座卓の縁に置き、カメラのレンズに対して斜めになるようにしています。

平らな面を真正面から撮るのではなく、あえて前後方向に奥行きができる置き方にしました。

ピントを合わせたのは、カメラ側に向けている角の先です。

こうしておけば、背景のボケ方だけでなく、

同じルービックキューブの中で、どこまでがピントの合っているように見えるのか

も比較できそうです。

背景には自室の本棚があり、ルービックキューブから背景まではおよそ2mあります。

今回の撮影条件

項目設定
カメラCanon EOS Kiss X7
レンズEF50mm F1.8
焦点距離50mm
撮影モードAv(絞り優先AE)
ISO感度ISO1600固定
F値F1.8 / F2.8 / F4 / F5.6 / F8 / F11 / F16
シャッタースピード各F値でカメラが自動設定
ホワイトバランス白色蛍光灯(約4000K)
ピクチャースタイルスタンダード
記録形式RAW+JPEG
記事掲載写真JPEG撮って出し
カメラ位置三脚で固定
カメラと被写体の距離固定
被写体位置固定
被写体と背景の距離固定
焦点距離固定
ピント位置固定
光源撮影中にできるだけ変化しないよう固定

なぜ今回はAvモードにしたのか

最初のアクリルスタンドの撮影では、MモードのままF値だけを変更していました。

そのため、F値を大きくして絞っていくほど写真自体も暗くなりました。

今回確認したいのは、

F値によってボケ方や被写界深度がどう変化するのか

という部分です。

明るさまで大きく変わってしまうと比較しにくいため、今回はAvモード、いわゆる絞り優先AEを使いました。

F値はこちらで設定し、ISO感度はISO1600に固定。

F値を変えたことで必要になる明るさの調整は、シャッタースピードを変更する形でカメラに任せています。

今回の撮影では、

「F値によるボケ方を比較しやすくするため、明るさの調整はAvモードのカメラに任せた」

くらいに考えています。

今回はJPEG撮って出しで比較する

今回はLightroomによる現像も行いません。

露光量やコントラスト、ハイライト、シャドウ、色温度、シャープネス、ノイズ除去などを後から調整すると、F値以外の要素によって写真の印象も変わります。

そのため、比較にはカメラから出力されたJPEGをそのまま使用します。

もちろん、撮って出しJPEGにもピクチャースタイルなどによるカメラ内の画像処理は適用されています。

今回重要なのは「完全に無処理の画像を使うこと」ではなく、

7枚すべてを同じカメラ設定・同じ画像処理条件で比べること

です。


そもそもF値と被写界深度って何?

写真を見比べる前に、今回関係する言葉だけ簡単に整理しておきます。

F値とは

F値は、レンズの絞りの開き具合を表す数値です。

基本的には、

  • F値が小さいほど絞りが開く
  • F値が大きいほど絞りが小さくなる

という関係があります。

一般的には、

  • F値が小さいほど被写界深度が浅くなりやすく、背景などがボケやすい
  • F値が大きいほど被写界深度が深くなりやすく、ピントが合って見える範囲が広がる

という特徴があります。

ただし、

「F値が小さい方が良い」「F値が大きい方が良い」

というものではありません。

どこまでをはっきり写したいのか、背景をどのくらいぼかしたいのかなど、撮りたい写真によって使い分ける設定です。

被写界深度とは

被写界深度は、簡単にいえば、

「ピントが合っているように見える前後方向の範囲」

です。

今回のルービックキューブは斜めに置いているので、ピントを合わせた角と、そこから離れた部分ではカメラからの距離が少しずつ違います。

F値が小さいと、ピント位置から前後に離れた部分は比較的早くボケて見えます。

F値を大きくすると、ピントが合って見える前後方向の範囲が広がっていきます。

今回の写真では、それがどの程度見えるのかも確認してみます。

なお、背景ボケや被写界深度はF値だけで決まるものではありません。

焦点距離やカメラと被写体の距離、被写体と背景の距離などにも影響されます。

今回はF値による違いを確認するため、それ以外の条件をできるだけ固定しています。


F1.8からF16まで撮り比べてみる

F1.8:思った以上にピントが合って見える範囲が狭い

F1.8 / 1/90秒 / ISO1600

まずは、今回使用したレンズの開放F値であるF1.8です。

ピントを合わせたキューブの角付近を見ると、シールの端のめくれまで確認できるくらいはっきり写っています。

一方で印象的だったのが、同じルービックキューブの中でも、すでにボケている部分があることでした。

ピントを合わせた場所から左右に1.5ブロック以上離れたあたりでは、輪郭が徐々にぼやけて見えます。

「被写体にピントを合わせる」と考えると、なんとなく被写体全体がはっきり写るようなイメージを持っていました。

実際には、F1.8ではピントが合っているように見える範囲がかなり狭いことが分かります。

背景については大きくボケていて、本棚に何が置かれているのかはほとんど分かりません。


F2.8:はっきり見える範囲が少し広がった

F2.8 / 1/30秒 / ISO1600

F2.8にすると、F1.8よりもキューブの中でくっきり見える範囲が少し広がったように感じます。

キューブの奥側や端にはまだボケが残っていますが、F1.8ほど狭い範囲だけがはっきりしている印象ではありません。

背景については、まだ何が写っているのか分からない程度に大きくボケています。

最初に見比べたときには、F1.8より色味まではっきりしているようにも感じました。

ただ、今回の比較だけでその原因までは判断できないので、これはあくまで写真を見たときの印象としておきます。


F4:キューブ自身のボケがかなり目立たなくなってきた

F4 / 1/15秒 / ISO1600

F4では、F2.8よりさらにピントが合って見える範囲が広がりました。

F1.8で目立っていたルービックキューブ自身の前後方向のボケも、かなり目立たなくなっています。

背景を見ると、F1.8ではほぼ色の塊のように見えていたものの形が、少しずつ分かるようになってきました。

とはいえ、この段階ではまだ本棚の中に何が置いてあるのかまでは判別しにくいです。


F5.6:キューブのほぼ全体がはっきり見える

F5.6 / 1/8秒 / ISO1600

F5.6になると、今回の写真ではルービックキューブのほぼ全体がピントの合っているように見える範囲に入ってきました。

特にF1.8と比較すると違いが分かりやすいです。

F1.8では奥側に向かうにつれてかなりボケていましたが、F5.6ではキューブ全体の形や面の境界を追いやすくなっています。

背景にはまだボケがしっかり残っています。

ただ、F4までと比べると背景にあるものの形も少しずつ分かるようになってきました。

キューブのシール面に写り込んでいる反射も、F4より目につきやすくなったように感じます。


F8:背景が「本棚だ」と分かるようになってきた

F8 / 1/4秒 / ISO1600

F8でも、ルービックキューブはほぼ全体がピントの合っているように見えます。

F5.6との違いとして分かりやすかったのは、むしろ背景でした。

ここまで絞ると、

「背景に本棚があって、本が置かれている」

ということがかなり分かりやすくなってきます。

もちろん、まだ背景にはボケがあります。

それでもF1.8の写真と比べると、背景から読み取れる情報量は明らかに増えました。

キューブのシール面への反射や輪郭も、F1.8の写真より目につきやすく感じます。


F11:F8との違いは思ったより小さい

F11 / 0.5秒 / ISO1600

F11まで絞ってみましたが、F8と隣同士で比較すると、今回の写真では思っていたほど大きな違いを感じませんでした。

ルービックキューブ自身の見え方もかなり近く、背景の本棚についても「F8から一気にはっきりした」というほどの変化はありません。

今回の撮影で面白かったところの一つです。

F値の数字は確実に変わっていますが、

一段変えるたびに、必ず写真の見た目が大きく変わるわけではない

ということも分かりました。

今回はルービックキューブと本棚の間に約2mの距離があります。

その途中にも何か比較できる被写体があれば、また違った変化を観察できたかもしれません。


F16:背景の本までさらに判別しやすくなった

F16 / 1.0秒 / ISO1600

最後はF16です。

ルービックキューブ自体の見え方は、F11と比べると大きく変わったようには感じませんでした。

一方で背景を見ると、違いが分かりやすくなっています。

F8やF11の段階でも本棚だとは分かりましたが、F16では本棚に並んでいる本の形や色がさらに判別しやすくなりました。

F1.8では背景が大きく溶けるようにボケていたので、両端を比べるとかなり印象が違います。

キューブについても、シール面への反射や輪郭を含め、F1.8より全体がはっきり見えるように感じました。

ただし、これは、

「F16なら写真のすべてに完全にピントが合う」

という意味ではありません。

今回の写真では、F1.8よりもピントが合って見える前後方向の範囲が広がったと考えるのがよさそうです。


7枚を並べてみると、変化が分かりやすい

掲載順:F1.8 → F2.8 → F4 → F5.6 → F8 → F11 → F16

1枚ずつ見ていると分かりにくかった変化も、F1.8からF16まで順番に並べるとかなり見やすくなります。

今回の撮影では、大きく分けると、

F値を大きくするにつれて、まず被写体自身のピントが合って見える範囲が広がり、その後は背景の見え方の変化が分かりやすくなっていく

ように感じました。


F1.8とF16では背景の見え方が大きく違う

  • 左:F1.8
  • 右:F16

一番極端なF1.8とF16を比べると、背景の違いがかなり分かりやすいです。

F1.8では、本棚に何があるのか分からないほど大きくボケています。

F値を大きくしていくと、本棚の手前にある袋状のものが少しずつ見えるようになり、さらにその後ろの本棚や本も徐々に判別できるようになりました。

F16では、本棚の中に本が並んでいることまで分かります。

同じ場所、同じ被写体を撮っていても、F値だけで背景の印象がここまで変わることを確認できました。


被写体自身の変化はF1.8とF5.6が分かりやすかった

  • 左:F1.8
  • 右:F5.6

今回、自分にとって特に印象的だったのは、背景だけでなくルービックキューブ自身の見え方も変化したことでした。

F1.8では、ピントを合わせた場所から少し離れただけで、同じキューブの一部がボケて見えています。

そこからF2.8、F4とF値を大きくするにつれて、ピントが合っているように見える範囲が徐々に広がりました。

F5.6になると、今回の写真ではキューブのほぼ全体がはっきり見えるようになります。

特にF1.8とF5.6を並べると、その違いがかなり分かりやすいです。

実験前から、

「F値を小さくすると被写界深度が浅くなる」

という知識はありました。

ただ、実際に撮ってみると、F1.8の被写界深度は想像していた以上に狭いと感じました。

カメラのセンサー面からピントを合わせた場所までは、おそらく50cm程度だったと思いますが、正確には計測していないです。

それでも、このくらい近い距離では数cm前後するだけでも見え方が変わるというのは、実際に撮影してみて印象に残った部分でした。


隣り合うF値では、意外と違いが小さいところもあった

一方で、7枚すべてで同じくらい大きな変化が見えたわけではありません。

今回、特に差が分かりにくかったのは、

  • F4とF5.6
  • F8とF11

でした。

F値だけを見ると一段ずつ変わっているので、

「一段変えたら写真もはっきり変わるのでは?」

と思ってしまいます。

実際には、今回の被写体と撮影条件では、隣り合うF値ではかなり似て見える組み合わせもありました。

逆に、

  • F1.8とF5.6では被写体自身の見え方
  • F8とF16では背景の見え方

の違いが比較しやすいと感じました。


「F値が小さいほどボケる」を、実際に撮って理解できた

「F値が小さいほどボケやすい」

言葉だけなら、とてもシンプルです。

ただ、今回実際に撮影してみて、この説明は背景ボケだけの話ではないことを実感できました。

F1.8では背景が大きくボケるだけでなく、

ルービックキューブという一つの被写体の中でも、ピントを合わせた場所から前後に離れるとボケて見える部分がありました。

F値を大きくしていくと、その範囲が少しずつ広がっていきます。

今回の撮影をする前よりも、

「被写体のどこまでをはっきり見せたいのか」

という視点でF値を考えられるようになった気がします。

たとえば背景を大きくぼかしたいからといって、必ずしも一番小さいF値を選べばいいわけではなさそうです。

背景はぼかしたい。

でも、被写体はここまでくっきり写したい。

その両方を考えながら、

背景のボケ方と、被写体のピントが合って見える範囲のバランスを探す

という考え方ができそうです。


今回の実験で分かったこと

今回、F1.8からF16まで同じルービックキューブを撮り比べてみて、次のようなことを確認できました。

  • F値を変えると背景ボケは確かに変化する
  • F値が小さいと、同じ被写体の中でもピント位置から離れた部分がボケて見えることがある
  • F値を大きくすると、前後方向にピントが合って見える範囲が広がった
  • 今回はF1.8〜F5.6で被写体自身の変化が特に分かりやすかった
  • F8〜F16では背景の本棚の見え方の変化が分かりやすかった
  • 隣り合うF値では、思ったより差を感じない組み合わせもあった
  • F値は単純に「小さい方が良い」「大きい方が良い」という設定ではない
  • 実際に撮り比べることで、「被写界深度」という言葉と実際の写真の見え方が結びついた

最初はアクリルスタンドを使った思いつきの撮影でした。

そこで背景のボケ方が変わることを体感し、今度は三脚を使って条件をそろえて再撮影。

さらにルービックキューブを斜めに置いてみたことで、背景だけでなく、被写体自身の前後方向にも被写界深度が関係していることを確認できました。

知識として「F値が小さいとボケる」と覚えるだけではなく、自分で撮って写真を並べてみる。

初心者の自分にとっては、その方が設定と実際の写りの関係を理解しやすいように感じます。

今回の撮影で、少なくともF値については、

「どの数字を選ぶか」ではなく、「写真のどこまでをどう見せたいかを考えて選ぶもの」

という感覚が、以前より少し分かるようになりました。


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